・食材加工にさまざまな工夫、顧客向けにテスト拠点
・人材育成に注力、さまざまな支援制度を用意
カレー、シチュー、パスタソースといったレトルト食品。チャーハン、コロッケなどの冷凍食品。さらにはマヨネーズ、ドレッシング、ソースなどの調味料…。カジワラはこうした食品の製造に欠かせない食品加工機械を開発・製造し、食品メーカーに販売している。
焦げないあん煉り機「煮炊撹拌機」の開発がターニングポイント
創業は1939年。梶原秀浩社長の祖父が、調理器具の問屋街である東京・合羽橋で食品機械の修理業として始まり、戦後の1948年に「あん煉り機」を商品化し、メーカーとしてスタートした。
しかし、従来の方式では、機械で「あん」を煉ると長時間加熱・撹拌するため、どうしても「あん」が焦げ付いてしまうという問題があった。1960年に父で先代社長の梶原徳二会長が、焦げないあん煉り機「煮炊撹拌機」を開発した。「煮炊撹拌機」は、従来まっすぐだった軸を斜めにし「自転公転」させ、撹拌羽根が人の手の動きのように鍋底を「かき取る」ように動くことで、焦げつきを防ぎながら均一に加熱撹拌することに成功した。特許を取得し、1964年には御法川発明賞および通商産業大臣賞を受賞、飛躍のきっかけをつかんだ。
「特定の食品を作る専用機とは異なり、当社の機械は食品のベースとなる味づくりを担い、取引先が非常に幅広いのが特徴」と梶原社長。冷凍・レトルト食品メーカー、お弁当メーカー、調味料メーカー、和洋菓子メーカー、製パンメーカー、セントラルキッチンなど、取引先は約1万社に上る。「手作りの味を機械で再現する」をモットーに、食品メーカー各社の味づくりを支えている。
最大の強みは、煮炊撹拌機のように他社に先駆けて先進的な製品を開発してきたこと。例えば2000年に発売した「ハイブリッド加熱撹拌機」。IH(電磁加熱)は高温、蒸気加熱は高カロリーという性質があるが、この二つの加熱方法を複合することで、高温高カロリー供給が可能となる。この加熱撹拌機は短時間で大量の調理ができる上、手作りの美味しさを再現した。
2006年にはドレッシングや健康食品などを生産できる「加熱・冷却乳化機Σ」を製品化。従来は粉砕機と加熱撹拌機、乳化機と工程毎に専用機が必要で、その機械間の移送工程も必要だったが、すべて1台で賄えるようになり、大幅なコスト減と品質・歩留まりの向上を実現した。
業界に先駆けて2004年に「カスタマーセンター」を開設したのも、強みの一つだ。「実際に満足できる味が機械で再現できるかどうか検証したい」という声に応え、食品メーカーが材料を持ち込んで試作できるテスト拠点を埼玉県八潮市に設けた。
年商100億円に向け海外市場を開拓
「近い将来に売上高100億円を目指したい」と梶原社長。この一環として海外市場を開拓しており、2013年にシンガポールに現地法人を設立した。東南アジアを中心に年間4億円程度を売り上げる。また北米・欧州市場での拡販を目指し、現地の規格を取得する作業も進めている。
社員の採用・育成にも力を入れる。入社時の新入社員研修や製造現場研修に加え、1カ月間かけて機械の基本をじっくりと学ぶ「カジワラ技塾」もその一つだ。先輩社員が文系出身者にも理解できるよう説明し、設計職はもちろん、営業職も機械を動かす仕組みや構成を知ることで、開発や提案に活かせると好評だ。
また「メンター制度」として、入社1年目は若手社員による面談を実施。公私にわたる悩みの相談やメンタルサポートを実施する。入社2年目も、東京・奥多摩の雲取山に1泊2日で登る登山研修や社内交流行事の企画・運営研修などを用意。2024年からは若手・中堅社員向けのシンガポール研修ツアーも始めた。このほか通信教育や資格取得、外部セミナー受講などの支援制度も用意している。
2023年からは大学・大学院新卒を対象に、月額1万5,000円を支援する「奨学金返済支援制度」を導入した。2025年も大幅なベースアップを実施し、新卒基本給は26万7,500円(大卒総合職)と大企業並みに処遇する。「自分たちが提案した機械で作られた食品がコンビニやスーパーに並ぶのを見て、やりがいを感じてもらいたい」と梶原社長は語った。
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《わが社を語る》
会社DATA
創業:1939(昭和14)年4月
所在地:カスタマーセンター>埼玉県八潮市二丁目1000、東京工場>埼玉県越谷市増森工業団地
売上高:72億円(2025年9月期)
従業員数:270名(連結)
事業内容:食品加工機械・製菓機械の開発・製造・販売
https://www.kajiwara.co.jp
カジワラの加熱撹拌機は、「味」を生み出す「煮る」「炒める」という工程を担う設備です。私たちの機械から生まれる食品は、冷凍・レトルト、調味料、フィリング類、惣菜にいたるまで幅広く、カジワラは手作りの風味を再現量産化することで食品産業に貢献しています。
食品は生命を育み生活の喜びを作るかけがえのない産業です。そしてその「味」は素材の組み合わせによって複雑な変化を生む無限の領域であり、昨今は、日本の「味」が世界に認められています。そんな食品メーカーの食品作り・味作りに応えるために、カジワラは、機械メーカーとして新しい機能・安全・衛生を常に追求し、お客様との長い信頼関係を築いています。会社の着実な安定と成長は、ひとえに企業の人間力です。カジワラは、働く人々の健康と成長を大切にし、社員一人ひとりの役割が食品産業を支えるという誇りを持って、これからも邁進して参ります。