デバイス、機器から制御、システムまで 広範な技術を融合し未来をつくる【三菱電機株式会社・先端技術総合研究所】
三菱電機の「先端技術総合研究所」は、広範な事業領域を持つ三菱電機グループを支える研究開発拠点として、デバイス、機器から制御、システムにわたる広範な領域でコア技術を生み出している。技術分野を横断して未来型製品「リニアトラックシステム」を開発するために集まった3人の若手技術者に、未来を作る「シゴト」を聞いた。
「先端技術総合研究所」は、1921年設立の三菱電機が1935年に設置した「本店研究課」を源流とし、1995年に中央研究所とデバイス関連の研究所を統合して発足した。兵庫県尼崎市の拠点には専門分野ごとに20近い技術部が集まる。伝統と実績を誇る日本を代表する研究所では、パワーエレクトロニクス、電気、機械、メカトロニクス、環境、材料、エネルギー、デバイス、システムなどの分野において、新たな時代を切り拓くキー・テクノロジーを提供するべく若い技術者たちが議論を戦わせている。
奥より関口 裕幸さん、中村 雄一朗さん、髙橋 健治さん
今回お話をうかがったのは、「リニアトラックシステム」の開発に参加した3人。ベルトコンベアに代わる未来の搬送装置として、電磁石を敷いたレール上で磁石を内蔵したキャリアを動かし、キャリアに載せたワークを速く、自在なルートで、高精度に移動させる。2023年の国際ロボット展に曲線型のレールも備えたシステムを出展して注目を集め、日刊工業新聞の十大新製品賞にも選定された。
このシステムを構成するコア技術は数多く、開発には先端技術総合研究所の各部門や製作所の現場から多数の技術者が集まった。このうち今回インタビューした電機システム技術部の中村雄一朗さん(38歳)はモーター の構造、モータ駆動システム技術部の髙橋健治さん(40歳)は モーター推力の制御、産業オートメーションシステム技術部の 関口裕幸さん(42歳)は キャリア位置・速度の制御技術の開発を担当した。
モーターの奥深さに惹かれて入社
髙橋 私は高等専門学校で電気やエネルギーを学んでから、大学の修士課程、博士課程まで進みました。モーター一筋20年です(笑。三菱電機はサーボモーターに強いですからね。入社前のマッチングで配属先が決まった状態で入社しました
中村 大学では生体工学を専攻しました。心臓のような柔らかいものの動きを有限要素法で分析するんです。新しい分野の面白い研究でしたが、シミュレーションばかりだったので、実物をやりたいなと思って三菱電機に入りました。会社説明会で大学OBの方がモーターの裾野の広さと影響力の大きさを熱弁しているのを聞いて面白そうだなと。
関口 学部時代は制御システム工学科で、1年と3年の時にロボコンに出場しました。成績はイマイチだったけれど、面白かったですね。思い通りに動かすサーボモーターの位置決めに興味を持ちました。修士課程では知能システム科学専攻で機械学習とDNAの研究をして、就職は機械に強い電機メーカーにしました。三菱電機は事業の幅広さが魅力。なかでも 先端技術総合研究所はいろいろな事業分野に関われると思いました。