国内外におけるモノづくりを多方面からサポートするプロフェッショナル【株式会社東京鋲兼】

　グローバル展開力と並ぶもう一つの同社の強みは、幅広い取引業種を持つことだ。自動車、電機、機械を中心とする輸出立国で成長を遂げてきた日本。家電製品や電機通信機器の競争力が低下し、大手製造業の相次ぐ海外シフトで国内取引は低迷。さらに加速する自動車の電動化は、エンジン、ミッション関連を扱う国内自動車部品メーカーに、少なからず新分野開拓の取り組みを迫っている。
　これに対し、東京鋲兼は、金属・樹脂部品だけでなく、カーボンや特殊素材などの様々な部品や企業のFA・自動化支援までを取り扱うことで、自動車関連40％、家電・OA関連25%、医療・情報通信・アミューズメント15％、住宅設備10％、産業機械10％と多岐にわたっている。取引業種が限定的な企業構造の場合や、系列色が強い取引構造の場合、主力業種が不調になったりセットメーカーが失速したりすると、企業業績への打撃は計り知れないが、幅広い取引業種を持つ独立系のモノづくり商社である同社は、大企業を中心に3,500社以上の顧客基盤を有しており、不確定な時代にあってもその対応力は高く、長期安定性を発揮できるポジションにあると言える。

　2018年頃から、「働く環境を業界トップレベルにもっていく」（筑比地利昌会長）として、働く環境改革に力を入れており、2020年には、経済産業省が認定する健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人2020（大規模法人部門）」として選出されている。これは特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する制度であり、商社機能を有し、金属加工・製造を行っている業界初の受賞となる。それ以外にも、「大企業でもやるところが限られている」（同）とされる、数年おきの新たなiphone貸与や、様々な業務がリモートでできるリモートアクセス、時差出勤制度、レクリエーション施設・宿泊施設の割引制度・リゾートトラスト施設の利用、社内での飲み会交流費用の一部会社支給など、他企業ではあまり例を見ない福利厚生施策を数多く整備し、働き方や余暇の過ごし方の充実に力を入れている。
　さらに、「働きやすさも重要なポイント」（筑比地会長）としており、取り扱う商材が幅広いため、オンラインのキャリアアップ教材や、社内の研修制度、自分が取りたい業務に関連する資格を受験する際、受験料を会社が負担する制度など、各種教育、研修制度を毎年拡充している。創業80年を超え、100年企業としての歩みを進める中、環境（Environment）、社会（Social）、ガバナンス（Governance）を重視するESG経営の取り組みにも余念がない。環境やガバナンス強化はもちろんのこと、社会貢献活動として注目されるのが、東京都墨田区の文化振興への協賛や、ハンドボール日本代表のオフィシャルスポンサー。特に、ハンドボールは学生の競技人口がラグビーや水泳よりも多く、少子化の時代でも学生の競技人口が拡大しているスポーツで、これらを通じて心身ともに健康的に成長できる教育環境をサポートしている。今後も、グローバルにビジネスを展開する企業の一員として、企業が社会に果たす役割を見つめながら創業100年を目指していく。