自動化のプロ集団。機械化で人々を創造的・革新的な仕事に導く　【NKE株式会社】

　「当社はベンチャースピリットを持つメーカー。小回りが利き、意思決定が速く、自由度がある。オリジナルのアイデアでつくっていく。いまは台車、コンテナを自動化できる製品の試作を重ねている」―。NKEの中村道一代表取締役社長は楽しそうに話す。
　生産現場の自動化では、機能ごとに標準化されたユニットをブロックのように組み合わせることで、全体のシステムを構築する。部品の供給・配膳・搬送を最適化し、負荷低減や作業ミスの撲滅など、作業者の補助を含む人に優しいシステムを目指している。部品供給や搬送などの「非付加価値工程」の改善により、顧客はより重要な「付加価値工程」の改善に力を注ぐことができるようになり、全体の生産性向上につなげている。
　そのために同社はエアチャック、コンベア、省配線機器などのユニット機器を多数開発、製造している。その数は「基本型式だけで300くらい、オプション品を含めると1万点を超える」（中村社長）。これが全体最適モノづくりの提案の源となっている。
　デジタルツールを駆使した遠隔サポートやメンテナンス、技術提案をはじめ、開発インフラのデジタル化・3次元化など、若手社員を中心に様々なプロジェクトが始動している。中村社長は「副業も積極的に取り入れるし、社内ベンチャー制度も具体化していきたい」と、目を輝かせている。

　自由度の高い伸び伸びとした社風から、新たなヒット商品も生まれている。その一つが、空気の力で体幹を固定して腰の負担を和らげる超小型アシストスーツ「Airsapo（エアサポ）」だ。腰に巻き、付属のポンプで空気を入れると、伝統工芸「京くみひも」を応用した独自開発の人工筋肉が収縮して筋肉負担を最大55％軽減できる。2022年4月中旬からクラウドファンディングによる先行予約販売を始めたところ、約2カ月間で目標金額の40倍超が集まり、注文数は200着を突破した。
　もう一つは、リアルタイムでCO2濃度を表示し、換気状況の“見える化”ができる「CO2れんら君」だ。濃度の推移データから現状の把握と分析を行うことが可能で、根本的な改善策に役立てられる。こちらは一般社団法人京都知恵産業創造の森から「京都スマートプロダクト」の認定を受けた。中村社長は「工場の自動化に限らず、いろいろなことにチャレンジする」と未来を見据える。
　同社は「人と技術の調和を通して、生活の向上をはかり、社会の発展に貢献する」企業理念を持つ。これに加えて「NKE　Way」と題する理念の解釈をまとめ、大切にする価値観として正々堂々、公明正大を掲げた。中村社長は「堂々の陣とは勝ち続ける組織。自分たちの力で前に進むプライドを持つことが必要だ。また、公明正大は、チームワークを強固にする基本と原則、他人を思いやる心を表している」と解説する。理念の背骨をがっちり通し、一層の飛躍を期している。