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オークラ輸送機の施工・アフターサービスを担う技術サポート会社【オークラサービス株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2024.03.15

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経営資源は人財。人を大切にする経営を貫き52期連続で黒字達成

 物流システム大手のオークラ輸送機(兵庫県加古川市)の全額出資子会社としてオークラ輸送機製品の据え付けやメンテナンスを担当する。工事事業は100%親会社向けだが、メンテナンス事業は物流システムの納入先と直接やりとりし、アフターサービスを行なう。売上はざっと工事が50億円、メンテナンスが100億円の規模だ。オークラ輸送機の副社長を兼ねる大庫隆夫社長は「親会社はコンベヤなど形のあるものを売るが、当社は施工技術、技を売る会社」と、技の伝承や人財育成に力を入れている。近年は、コンベヤやロボットのデータを収集・分析して、突発的なトラブルを未然に防ぐ「予知保全サービス」の開発や、従業員の健康や就業サポートのために社員食堂や保育園、介護事業を立ち上げている。

オークラ輸送機の物流システムに新たな価値創出
顧客だけでなく従業員の健康や就業サポートを最重視する「社内大学」「ライフケア事業(介護、保育、社員食堂等)」
パレタイジングロボットのメンテナンス風景

パレタイジングロボットのメンテナンス風景

流通業(物流センター/eコマース)向けが急拡大

 同社は創業以来、52期連続で黒字を達成している。08年には64億円だった売上は22年には156億円と2.4倍に拡大した。親会社の受注が好調なことに加え、メンテナンス事業が大きく伸びた。国内だけで17カ所の営業拠点を持ち、23年に入ってからも富山に本社を置く、搬送・省力化設備の設計製作施工、メンテナンスを手がけている株式会社 高橋を子会社化して北陸での体制を整えた。これまで空白地帯だったが「拠点を置いたら驚くほど問い合わせが来た」(大庫社長)。親会社の顧客を100%カバーするのは難しいが「技術サービスの会社はホームドクターのようなもの。顧客の近くにいなければならない」(同)とまだまだ伸びしろがありそうだ。
 顧客層は変わりつつある。現在製造業と非製造業の比率はほぼ半々だが、急速に非製造業が伸びている。eコマース業界の活性化に伴い、大規模な物流センターの建設が増えているためだ。コロナ禍でも受注が増えており、「行動が制限され人との接触が最小限になり、宅配が急速に増えた」と分析する。大規模物流センターは24時間稼働でメンテナンスに費やす時間は限られる。ましてや非製造業種には設備の専門家は少ない。必然的に同社のような存在が不可欠になる。
 工事、メンテナンスに続く事業の柱として期待されるのが「オークラロボットサプライカンパニー(ORSC)」だ。09年に立ち上げ、全国展開を開始した。これはいわばロボットのシステムインテグレーター(SI)事業。オークラ輸送機の看板商品である「ロボットパレタイザー」は、コンベヤとロボットをセットで納入する。同社はロボットパレタイザーに関するコンサルティング業務に加え、ロボットだけを更新したいという顧客の要望に基づき、用途や価格に応じたロボットを提案する。
(左)社内大学技術講座の風景
(右)フリーアドレス制のオフィススペース(新本社3F)
新本社にある卓球台は休憩時間に従業員で賑わう

新本社にある卓球台は休憩時間に従業員で賑わう

顧客を交えて「安全・安心」を実現

 工事やメンテナンスといった無形の価値を売りものにする企業らしく、人財育成に力を入れている。99年には社内大学を開設し、01年には技術者資格制度を構築した。社内大学は管理講座、基礎講座、技術講座、特別講座などからなり、顧客を交えた公開講座も行っている。「安全・安心は自社だけではなく、顧客の協力なしには達成し得ない」との信念に基づくものだ。同社の新入社員は約10か月間、社内大学で研修を受け、ある程度の技術力を身に付けた後、正式配属される。こういった社内大学の成果もあり、同社の離職率は低水準で推移している。
 海外拠点も人財育成に有効活用している。03年に上海駐在員事務所、広州にも事務所、タイでは親会社への出向の形でスタッフを配置しており、常時3人が海外に常駐している。「企業のグローバル化は人財のグローバル化」と、社員の海外派遣だけでなく、中国やベトナムの人財も採用している。しかもすべて正社員待遇だ。
 社歴は50年を越えたが、大庫社長が常に強調するのは「原点に帰れ」。その原点とはコンベヤであり物流システムだ。「IoT機器を設置し、振動や熱等のデータ収集・AI分析によって故障を予知する未来型メンテナンス”オークラ予知保全サービス”を開発中であるが、これからも機械据え付けやメンテナンスを人が現場で行なうことは変わらない」と見る。顧客満足度を一層高めるためにも、原点を守り、技術を継承しながら環境変化に柔軟に対応していく。
チャレンジ精神の醸成と経営資源としての人財育成を考え続...

チャレンジ精神の醸成と経営資源としての人財育成を考え続けてきた

代表取締役社長 大庫 隆夫氏

当社はオークラ輸送機の子会社として50年以上の歴史があり、工事とメンテナンスという重要な役割を担ってきました。世の中に必要とされる会社とは、得意技を持っている会社です。得意分野を作るためには人財育成、技術の継承が不可欠であり、オークラグループは業界に先駆けて社内大学を開設しました。
 当社の経営資源は人財です。従業員が安心してノビノビと就業できるように、社員食堂、介護事業、保育事業等のライフケア事業にも取り組み、リモートワーク制度導入、フリーアドレス制導入、制服廃止等、働き方改革も行なっています。これからもお客様・社会・地域から必要とされ、貢献できる企業であり続けるために挑戦を続けてまいります。

会社DATA

所在地:兵庫県加古川市野口町古大内900
設 立:1971(昭和46)年4月1日
代表者:大庫 隆夫
資本金:8000万円
従業員数:378名
売上高:156億円
事業内容: 物流システムの据え付け、移設、改造工事 物流システムの定期点検業務 
物流システムの修理、オーバーホール業務 機器・部品販売業務 ロボット販売業務 保険代理店、農業、加工食品、介護、保育サービスに関する業務
https://okrs.co.jp/

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