icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

電話を先進デジタルツールに変貌させ急成長、24年に株式上場へ【株式会社アセンド】

キラリ、企業ハッケン!

2023.05.25

SHARE WITH

  • facebook
  • X
  • LINE

昔ながらのコミュニケーション手段である電話はアナログ音声のやりとりがデジタル化され、IP(インターネット・プロトコル)化が進んだ。株式会社アセンドは2012年、1時間に最大200万コールの大規模調査が行える自動コールシステム「MEGA-CALL」を開発し、市場調査、選挙調査、リコール対応、債権督促などの業務を効率化した。17年にはコールセンター向け顧客管理(CRM)システム「Omni Contact」を開発し、営業生産性を向上した。さらに20年にはアンドロイド搭載のIP電話機「Omni Phone」を開発、23年には外国語の電話を主要20カ国語の中から自動判別し、翻訳機能によって合成音声で対応する自動音声応答システム(IVR) のウェブツール「OmniCustomer Control」を開発した。これに伴い、業績は右肩上がりの成長を続けている

始業10時のフレックスタイム、社員還元・福利厚生充実で頑張れる環境つくる

●20 カ国語に自動翻訳、合成音声化が可能なAI ツール開発
●自社製品・サービスに特化し、売り上げの3 分の1 は安定したストック収入

人間がより複雑で情緒を 必要とする業務に専念 できるような社会を目指す

アセンドの佐藤博社長は「今後数年で、粗大ごみやライブチケットの受け付けなどの簡単な業務はオペレーターではなく、AI(人工知能)が対応できるようになるだろう」と予測する。目指すのは「人が、より複雑な業務、情緒を必要とする業務に専念することで、さらにコミュニケーションが密になる社会」(佐藤社長)だ。実際に「Omni CustomerControl」では、日本経済活性化の期待が大きい訪日外国人旅行客のインバウンド需要を見据え、自治体や旅行会社、観光事業者、通販事業者、保険会社などの業務をコミュニケーションAI(人工知能による音声自動応答、音声自動対応)で代替する。IVRのプログラムはドラッグ&ドロップで簡単に作成、編集できるのが特徴で、特許を出願している。また、このウェブツールは自動翻訳IVRのほか、全通話の自動録音、通話内容の文書化、着信の任意分配、営業時間外アナウンスなどのさまざまな効率化ツールを盛り込んでいる。また、アプリをインストールすることで、スマートフォンからオフィス電話と同様の機能を利用できる。これにより、テレワークや外出中でも、オフィス同様の電話対応が可能になるうえ、社内連絡やリスク管理が容易に行えるようになった。IVRは今後さらにAIの精度を向上させ、多言語のボイスボット(自動会話プログラム)なども実現する計画だ。このほかアセンドでは22年、介護施設や飲食店などの電話によるトラブル防止に向けて、
安価な通話録音サービス「RecACE」も開発している。
(左)ロケーションフリーで、通話録音・営業時間設定・着信設定などが簡単に行える「Omni Phone」(左)と「OmniPhone Mobile」
(右)アセンドの東京・池袋コールセンター。自社でもコールセンターを展開している

アセンドの本社受付。奥には特許証が
ずらりと並ぶ

21年12月期まで10期 連続増収、新システム 視野に売上高50億円へ

アセンドで特筆したいのは、社員を思う気持ちだ。10時始業ベースのフレックスタイムで、コアタイムは11時〜15時とし、それすらも柔軟に運用している。開発担当の執行役員の母校である韓国の永進(ヨンジン)専門大学から毎年新卒を採用し、韓国人の社員が10人ほどいるが、国、地域ごとの給与格差は全くない。医療保険は会社持ちで支払い、コロナ禍で社員から感謝された。22年12月に3年ぶりにほぼ全社員が参加して開催した忘年会や、同じく3年ぶりに23年2月に実施したスキー旅行は会社の全額補助。そのほか、沖縄の開発拠点のすぐそばに一軒家を2つ借りており、社員に無料開放。さらに小型船舶を所有しており、同社には一級小型船舶操縦士が5人もいる。佐藤社長は「いかに社員が頑張れる環境をつくるかが経営の本質」と説く。同社は自社製品・サービスに特化し、強い商品力を武器に21年12月期まで10期連続で過去最高の売上高を更新した。22年12月期は株式上場のための費用がかさみ、減収減益を余儀なくされたものの、23年12月期は再び過去最高の売上高を計画し、併せてほぼ1年遅れとなった株式上場を予定している。佐藤社長は「AIと自動化の仕組みを使い、コールセンター事業の人手不足を補っている。将来的には通販のコールセンターなどに広げるとともに、テレビ電話の新しい使い方も提案し、売上高50億円を目指す」と言う。「毎月の安定したストック収入で売り上げの3分の1は入ってくる」(同) と、経営体質は強く、社員を大切にする社風とあいまって順調に成長し続けるだろう。
(左)アセンドの成長を支える(左から)藤澤修一取締役、天神覚副社長、藤﨑洋一取締役
(右)多数の社員が参加したスキー旅行(2023年2月)

≪わが社を語る≫

◆毎朝行きたい会社をつくる

◆毎朝行きたい会社をつくる

代表取締役 佐藤 博氏

アセンドのモットーは「毎朝行きたい会社をつくる」ことです。社員が生き生きと働くことのみが、会社を成長させ、結果的にステークホルダーに還元できると信じてやってきました。そのためにも社会が必要とするシステムを開発、発展させていきます。2011年2月に川崎コールセンターを開設した直後に、東日本大震災が発生し、同センターの業務は6カ月間ストップしました。翌年に入社してくれた天神覚氏(現副社長)らの頑張りによって自社製品開発・サービス会社へと舵を切り、社員数も増えました。そこで、何が会社を成長させるのかを考えるようになり、会社は社員が頑張れる環境をつくり、社員は生き生きと自分の仕事に情熱を持って取り組むことがすべての始まりと思い至りました。毎朝行きたい会社をつくることを起点に、成果は社員に還元し、社員がさらに成長してくれることを願っています。

会社データ

所在地:東京都新宿区西新宿1-21-1 明宝ビル5階
設立:2003(平成15)年12月12日
代表者:佐藤 博
資本金:3,700万円
売上高:26億2,700万円(2022年12月期)
従業員数:正社員112名、パートタイマー100名(2022年12月時点)
事業内容: 顧客管理(CRM)とコンピューター・電話統合(CTI)システムの開発・運
用、電話による世論調査・支持率調査、コールセンターDX
https://www.ascend-corp.co.jp/

RELATED