・長年かけてきた安全技術で勝ち取った信頼
・新技術のリスクにも挑戦する旺盛な独立心
旭光電機株式会社は、自動ドアの開閉を制御する「コントローラ」や、人を感知する「センサー」を主力製品とする産業機器メーカーである。1947年の創業以来、安全で快適な社会の実現に貢献し続け、制御技術を中核に存在感を高めてきた。1956年には日本で初めてオフィスビル用自動ドアコントローラを開発し、パイオニアとしての地位を確立。現在、国内トップメーカー・ナブテスコ株式会社への製品供給を軸に成長を続けている。ナブテスコが手がける自動ドア用コントローラは市場の約3割、センサーは約7割を占めており、そのうち旭光電機製はコントローラで約半数、センサーで約9割を担う。特にビルフロント市場では、国内シェアの約8割がナブテスコであることから、旭光電機製のセンサーは約7割を超える高いシェアとなっている。
こうした高いシェアを支えるのは、磨かれた品質と技術力だ。和田貴志社長は「壊れない製品づくりと、顧客の困りごとに寄り添う姿勢こそ当社の強み」と語る。主要顧客への依存度低減を課題とし、ナブテスコとその他で売上比率を五分にすることを目標に、新たな市場開拓と共創を進めている。
鉄道・船舶・飲食分野へ広がる応用技術
同社の技術は自動ドアにとどまらず、鉄道や船舶など高い安全性が求められる社会インフラにも活用されている。東海道・山陽新幹線のぞみ号では、ブレーキ制御コントローラの半数を同社が生産し、自動ドアセンサーでは独占的シェアを誇る。駅ホームドア用制御装置やセンサーの生産も拡大しており、鉄道の安全運行を支える存在だ。
舶用分野でも大型船舶向けエンジン制御コントローラを供給し、航行の安定と安全を支える。高温・高湿度・振動など過酷な環境下でも安定動作を維持するモノづくり力は、長年の信頼につながっている。
新たな共創事例であるアサヒビールとの共同開発は要注目。和田社長(当時専務)が自ら営業を行い、独自の光センサー技術を応用して提案を重ねた結果、ビールの泡を検知して飛び散りを防ぐ「ビール切れストッパー」が誕生。累計販売15万台を超えるヒット商品に成長した。氷点下で冷却・表示する制御装置も開発し、飲食店の付加価値向上に貢献している。
IoT・AI・宇宙分野への挑戦
旭光電機は制御技術を進化させ、IoTやAIを取り入れた新領域への展開を進めている。2020年には電力計測IoTデバイス「wattXplorer(ワットエクスプローラ)」の開発がスタートし、2025年4月より発売を開始した。経済産業省の支援を受け、AIによる異常検知・予測分析サービスの開発にも取り組む。このシステムは少量多品種生産を行う中小製造業でも不良の兆候を検出でき、品質管理を支援する。
医療分野では浴室内の見守りセンサーを開発。高齢者の入浴事故防止を目的とした安全支援システムとして注目される。
さらに宇宙分野では、JAXA向け人工衛星搭載センサーの開発で高評価を得ており、ロケットや衛星に搭載される観測用センシング技術の研究を継続。宇宙の過酷な環境で機能する高精度センサーは、同社の技術力を象徴する。
積算電力計測IoTデバイス 「wattXplorer(ワットエクスプローラ)」
成長を支える人材育成とグローバル戦略
多角的な取り組みの成果として、同社はコロナ禍後も年率10%を超える増収増益を達成。2024年には売上高62億5,000万円と過去最高を更新した。量産品の一部はタイ企業に委託し、インド、ベトナムなどのASEAN地域への拡販も進めている。また、DXにも注力し、自社技術を核とした守り(効率化)と攻め(新事業)のDXの取り組みが評価され、関西デジタル・マンス実行委員会主催の「KANSAI DX AWARD 2025」において、【グランプリ】を受賞した。(発表日:2025年10月9日)
和田社長は、長寿企業としての強みを「リスクを取りすぎず、着実に挑戦を重ねること」と語る。次世代人材育成にも力を入れ、2025年入社の理系新卒社員には生成AI教育を導入。デジタル技術と制御技術を融合させ、将来の開発力強化を図っている。
「当社の役割は、安全と安心を支える技術を社会に提供し続けること」と和田社長。2028年には売上高100億円を目標に掲げ、「自動ドアから宇宙へ」をキーワードに、制御技術の可能性をさらに広げていく。
会社DATA
創業:1947(昭和22)年6月
設立:1952(昭和27)年11月
所在地:神戸市兵庫区荒田町1丁目2番4号
資本金:8,500万円
従業員数:225名(2025年9月末現在)
事業内容:各種センサー ・コントローラ及び各種制御装置の開発・設計・製造
URL:https://www.kyokko.co.jp/
独創のセンシング技術とコントロール技術で、安全と快適な社会の実現に貢献
感じて伝える力を社会の力に
モノと人と世界をつないで価値ある暮らしを創造