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アルミの引抜加工を軸に、製品化まで対応 ―カメラ、コピー機から新幹線まで幅広く活躍【日本伸管株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2026.03.17

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・国家プロジェクトに超高精度ドリル外管を提供
・自動車用ドア開閉シリンダー向けに月産100万本
 鉄の3分の1の軽さに加え、錆びにくく、加工性に優れたアルミニウム。高い強度を確保しながら軽量化できるため、航空機や自動車、鉄道車両、建築材料、医療機器、電子機器、日用品など、幅広い分野で使われている。そのアルミのパイプや棒の加工方法の一つである「アルミ引抜加工」で、国内外から高い評価を受けている企業が、日本伸管である。
 アルミ引抜加工は、アルミニウムを500℃程度に熱して「ところてん」のように型から押し出したパイプを母材に、常温で型から引き抜いて形づくる加工方法。外径を決める金型「ダイス」と内径を決める金型「プラグ」を通して数十トン以上の力で引っ張り、外径と内径を絞ることで、寸法精度や表面品質、強度を高められる。
 日本伸管はこうした通常の引き抜きに加え、丸パイプの断面形状を六角や星型などに変える異形引き抜きや、鉄、ステンレス、銅などとアルミを同時に引き抜くクラッド(複合)引き抜きも得意だ。例えば鉄製ビスでアルミ板を止めると次第に緩んでしまうが、アルミ材の内側に鉄材を引き抜きで圧着することで、新幹線車両の窓枠押さえとして、鉄製ビスでアルミ車体を止められるようにした。
日本伸管のコア技術

日本伸管のコア技術

埼玉、福島、タイに生産拠点を展開

 細沼直泰社⾧の父・哲夫氏が1967年に設立。1976年に福島県西郷村に白河工場を開設し、本社工場はカメラ鏡筒部品など光学系、白河工場はコピー機の感光ドラム材や農機具などと生産品目を棲み分けてきた。2012年にはタイ・アユタヤ県に現地生産拠点を開設し、現地企業向けに年間20億円を売り上げるまで成⾧した。2024年にはステンレス・チタンパイプを製造する旭工業(群馬県館林市)を買収し、グループ会社化した。
 細沼社⾧は自社の強みについて「アルミの引抜加工に加え、アルミの材料調達から機械加工、アルマイト処理、組み立てまでを一貫して担える点だ」と語る。工場にマシニングセンターやNC旋盤、プレス機などを配備し、プレス、曲げ、溶接、切削、研磨などあらゆるアルミ加工に対応する。
 アルマイト処理はアルミ表面に酸化被膜を作り、耐腐食性・耐摩耗性を高めるために行うもので、自動車部品やくぎ打ち機、救急ストレッチャーなどの商品力向上に貢献している。顧客の要望に応じて組み立ても行い、キャンプ用品や電動工具、掃除モップなどで実績がある。
 その高い技術力は、国立極地研究所などが進める「南極氷床深層掘削計画」に採用されるほどだ。南極の地下深くから掘り出した氷に含まれる大昔の大気成分から気候変動メカニズムを解明する国家プロジェクトに対し、超高精度のドリル外管を提供。2003年から2007年にかけて深さ3,035メートルに眠る約72万年前の氷の採取に成功した。2024年からは再度掘削が始まり、今度は100万年以上前の氷の採取を目指している。
南極氷床掘削で使用されたドリル外管

南極氷床掘削で使用されたドリル外管

難しい仕事に挑戦し、社員にやりがい与える

 分野別の売上高をみると、以前はカメラやコピー機が7割を占めた。だが近年は自動車向けが増え、2024年に初めて分野別で最大の売上高となった。例えばミニバンやSUVのハッチバック開閉シリンダー用パイプの納入に成功し、月100万本も量産する。またエンジンの駆動力をタイヤに伝えるプロペラシャフトの素材を鉄からアルミ化し、需要を拡大させた。電動パワーステアリングのトルクセンサー部品としても使われている。
 中期的な経営目標として、1人当たりの年間付加価値額(売り上げから仕入れを引いた額)を、現在の1,200万円から1,500万円に引き上げる計画だ。このため、細沼社⾧は社員に対して「新しいこと、難しいこと、手間がかかることを手がけよう」と呼びかける。難しい仕事に挑戦することが、付加価値を生むことに直結し、社員にとってもやりがいや達成感が得られると信じるからだ。
 課題は人材の採用・育成だ。特に教育面で体系的なプログラムの確立と、製造現場間のローテーション(人事異動)の推進に力を入れる。「従来は特定の現場に精通したプロフェッショナルを養成することを重視していた。今後は工程全体を見渡せられる人材の育成に取り組む」と細沼社⾧。「社員全員に当社に来てよかったと思える会社にしたい」と強調した。
真剣な眼差しで説明を聞く社員

真剣な眼差しで説明を聞く社員

《わが社を語る》

アルミを極め、とことん活かす「小さな世界一企業」

アルミを極め、とことん活かす「小さな世界一企業」

代表取締役社長 細沼 直泰氏

 私たちの強みは、「アルミの引抜加工」と「製品化までを担う一貫生産」にあります。
アルミ引抜加工では、高精度化はもちろん、特殊形状や極薄製品など、常に引抜の常識を超える挑戦を続けてきました。
 また、素材の加工から表面処理、組立までを自社で担うことで、製造プロセス全体を見渡した最適なものづくりを実現しています。
 広範囲な知識と技術が必要なため、苦労も少なくありませんが、すべての工程に関われることは私たちのやりがいと誇りです。
 現在はタイにも工場を持ち、さらに2024年にはM&Aによりステンレスの極細引抜も社内に取り込みました。引抜技術を極めながら、お客様の「つくりたい」を形にするパートナーとして、「小さな世界一企業」を目指し、これからも挑戦を続けてまいります。

会社DATA

設立:1967(昭和42)年9月22日
所在地:本社・本社工場>埼玉県新座市中野1-10-22
拠点:白河工場(福島県西郷村)、旭工業(群馬県館林市)、タイ現地法人(アユタヤ県)
売上高:53億4,000万円(2026年1月期、国内)
従業員数:300名(国内200名、海外100名、グループ会社含む)
事業内容:アルミ管・棒の製造、アルミ部品の製造、アルマイト処理、組み立て
https://www.nihonshinkan.co.jp

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