・デザイン性を重視してStudio F.A. Porscheに依頼
・新工場棟を開設、生産効率3割アップ
モリタ東京製作所は、歯科用医療機器業界をリードするモリタグループの製造機能を担う。1916年創業のグループ発祥企業である商社のモリタ(大阪市吹田市)や、同じ製造機能を担うモリタ製作所(京都市伏見区)、アフターサービスを担うジェイエムエンジニアリング(京都府久御山町)等と並ぶグループの中核企業として、人々の歯の健康に貢献する歯科医療業界をサポートしている。
主力商品は、歯科医院で患者が治療を受けるために座る椅子と診察用機器が一体化した、歯科治療用チェアマウントユニット。歯科医療機器関連製品が全社売上高の9割を占める。このほかに、歯科技工用の機器や動物用歯科治療ユニット、耳鼻咽喉科用ユニットなども手がけている。
世界三大デザイン賞の最高賞を受賞
創業は1969年。歯を削るためのハンドピースを製造する三殖と、森田製作所東京工場が共同出資して埼玉県与野市(現・さいたま市)に設立した。1984年には現在も主力製品群の歯科用ユニット「シグノシリーズ」を発売。カーデザイナーに外観デザインを依頼し、斬新な色使いと形を実現。「デザイン自体も機能であり、当社にとって大きな転機となった」と中山真一社長は振り返る。
2005年にはStudio F.A. Porscheにデザインを依頼した「シグノトレファート」がグッドデザイン賞(経済産業省選定)を受賞した。人間工学に基づいたシンプルで飽きのこないデザインが特徴で、2019年には同Studio F.A. Porscheの最新モデル「シグノT500」が世界三大デザイン賞の一つである「レッドドットデザイン賞」でプロダクトデザイン部門の「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を受賞した。
最大の強みは、歯科医師の声を製品開発に反映する姿勢だ。「臨床現場のニーズを丁寧に汲み取り、使いやすさと美しさを兼ね備えた製品を開発できる人材と、それを製造できる人材がいることが大きい」と中山社長。もちろん、医療機器の製造業の認可を持っていることや、設計から製造までを同じ場所で一気通貫に行えること、さらにはグループとしてのブランド力や販売・サービス網を持っていることも強みだという。
ここ数年はさらに生産体制を強化しており、2022年に第5工場A棟、2024年に第5工場B棟を相次いで完成し、稼働させた。最新鋭の自動加工機、無人搬送ロボットを導入して、生産の効率化と省力化を進めている。また外部のコンサルタントを活用して、生産性を向上させる活動も実施。5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)活動を始めとした職場環境の改善により2年間で生産効率を平均30%上げた。現在は生産管理システムの刷新も進めている。
こうした取り組みは作業負荷・負担の軽減につながり、新たな業務に挑戦する社員の成長や働き甲斐の向上にも寄与しているという。仕事と家庭の両立を支援する企業として、埼玉県の「多様な働き方実践企業」や「シニア活躍推進宣言企業」に認定され、国の「健康経営優良法人ネクストブライト1000」の認定も受けた。また、地域貢献、環境配慮にも注力し埼玉県により「埼玉県SDGsパートナー」として登録されるなど、多角的な視野で取り組んでいる。
海外拡販と医科分野にも注力し、100億円を目指す
今後の計画は、2030年3月期に売上高を100億円に伸ばす。これを実現するため、現在の海外売上高を3倍以上に増やす。海外に常駐する担当者を中心に欧州やアジア圏で拡販するほか、米食品医薬品局(FDA)の認可を取得し2027年を目途に米国市場開拓に乗り出す方針だ。
これに加え、医科向け医療機器分野についても、売上高の倍増を目指している。耳鼻科向け商材に加え、新たなニーズ探索に向けて大学などと共同研究を進め、今後、近い将来の医療の発展に貢献する考え。
歯科医療のデジタル化への対応も進めている。新設した「デジタル推進部」で、DX(デジタル変革)も推進する。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用した診察支援機器の開発にも力を入れる。これらを通じ、未来の歯科医療を支える技術革新の担い手としての役割を果たそうとしている。
《わが社を語る》
会社DATA
設立:1969(昭和44)年11月1日
所在地:埼玉県北足立郡伊奈町小室7129番地
売上高:68億5,000万円(2025年3月期)
従業員数:346名(2025年3月現在)
事業内容:歯科用・医科用・動物用医療機器の製造・販売
https://www.morita.com/jmtmc/ja/
当社は医療従事者、患者双方に寄り添い「人にやさしい医療環境の創造」を理念に掲げて事業を展開してきました。その中でも歯科診療用チェアマウントユニット「Signoシリーズ」は、発売から40年以上経った今も進化を遂げ、日本のみならず世界で人々のお口の健康を支えています。
より良い製品を送り出すには、つくる側である社員の健康や働き甲斐の創出も不可欠です。当社はワーク&ライフシナジー(仕事と私生活の相乗効果)を重要視し、健康経営に積極的に取り組み、健康経営優良法人ネクストブライト1000にも選出されました。自動化による生産性向上や作業負荷軽減にも注力しています。今後も社員と会社を育み、世界中のお客様に寄り添いながら“昨日より今日、今日より明日”と歩み続けて参ります。