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現場ニーズを先取りし、人の命と健康に貢献する医療機器メーカー【株式会社三幸製作所】

キラリ、企業ハッケン!

2023.05.25

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 株式会社三幸製作所は、吸引器や酸素圧力調整器、動物用人工呼吸器などを開発、製造する医療機器メーカー。なかでも口腔内の分泌液(唾液、痰)を体外に取り出す吸引器は、国内シェア約60%を確保し、同社の主力製品になっ
ている。おもに医療現場や介護施設で使われるが、なかには10年近く使用されるケースや、1年365日、運転し続けている製品もある。金坂良一社長は「使いやすく、壊れないというブランド浸透が何より有難い。患者さんの命と健康にかかわる製品なので、安心と信頼のモノづくりが欠かせない」と、強調する。
 実は金坂社長は、緩衝材や梱包資材を製造するカネパッケージ株式会社(埼玉県入間市)の社長でもある。医療機器メーカー向けの緩衝材を多く扱っていた縁もあり、三幸製作所の事業承継提案に応じるかたちで、2019年に同社をグループ化。以来、矢継ぎ早に三幸製作所の社内改革を実行してきた。例えば、生産態勢の抜本的な見直し。新型コロナ以降は人工呼吸器の増産対応に追われたが、改革を通じて生産効率を引き上げることに成功。最近は「残業しなくても、同じ量を生産できるようになった」と言う。

~積極的な新製品開発を通じて、医療現場の困りごとに迅速に対応~

●国内トップシェアの吸引器を中心とする圧倒的なブランド力
●多様な補助金制度や研修制度に見られる社員第一の経営姿勢

新製品の開発期間を短縮

 シミュレーション手法を大胆に採り入れたことも大きい。試作を何度も繰り返す従来手法に変えて、あらかじめコンピューター解析によって、金型変更などの試作領域の工数を大幅に低減。さらに社外で借りていた防音室を内製化し、音の検査を迅速化することによって、新製品の開発期間を大幅に短縮している。金坂社長は、「最近も新製品を8機種同時に投入したばかり。トップシェアを盤石にするためにも、新製品開発を通じて商品力を一段とアップしていく」と、明快だ。
 開発のカギとなるのが、ユーザーとなる医療現場の視点に立ったモノづくり。今後投入される新開発の吸引器は、設置スペースを約2割低減したほか、モーターの改良によって図書館並みの静粛性を実現。夜中でも他の入院患者を煩わすことなく、吸引作業を行えるようにした。「現場ニーズの把握なくして、メーカーは成り立たない」と、断言する金坂社長。岡山大学病院に毎年1年間社員一人を派遣し、現場の困りごとを発見してくる取り組みも始めている。
 とりわけ新型コロナ禍の医療現場では、人手不足と感染防止対策に見舞われ、吸引器で取り出した廃液を貯める容器の洗浄作業が敬遠されがちに。そこで同社がいち早く取り組んだのが、吸引バッグにたまった廃液を捨てるディスポーザブル型吸引器の積極投入。装置にとどまらず、廃棄用の交換バッグの自社生産ラインを新設し、サプライチェーンまで含めた万全の態勢を整えた。まさに三幸製作所が、現場の困りごとに迅速対応したことの表れで、今後もディスポシフトを通じて、医療現場の負担軽減をサポートしていく方針だ。
(左)新製品開発 性能試験
(右)海外展示会 Medical Fair Asia 2022 at Singapore

社員を大切にする数々の取り組み

 将来的には、東南アジアを中心とする海外市場開拓も視野に入れるが、「私の代わりに仕事をしてもらっている社員に感謝し、ワクワクして働いてもらうことが私の役割」と話す金坂社長。会社の成長は、それ自体が目的ではなく、社員を豊かにするための必要条件と見ているようだ。あまり例を見ない金額の住宅取得祝い金や、エコカー普及を名目にした新車買い替え補助制度、1泊2日以上の旅行に対する2万円補助のほか、社員の成長を支援する各種研修制度の充実ぶりなど、社員を大切にする数々の取り組みは、書き尽くせないほどのボリュームと内容だ。
 カネパッケージグループが、2009年から始めているフィリピンでのマングローブ植林活動。三幸製作所もグループの一員として、毎年3~4人の社員が3泊4日で植林に赴く。「環境改善活動を実際に体験することで、社員の意識も変わる。心も変わる。自宅に帰った社員は、きっと家族にこの体験を笑顔で話すにちがいない」(金坂社長)。そんな社員一人ひとりが前向きに働き、それぞれの力を存分に発揮する。それが三幸製作所の成長の原動力になっている
(左)2023年2月 マングローブ植林
(右)従業員集合写真

≪わが社を語る≫

感謝の気持ちを込めて愚直に取り組む

感謝の気持ちを込めて愚直に取り組む

代表取締役 金坂 良一氏

 当社は、創業の精神を引き継ぎ、一人でも多くの患者様を救えるよう、そして医療従事者の皆さんの負担を少しでも軽減し、過酷な医療現場の環境改善につながる医療機器を開発、提供しています。お陰様で、吸引器をはじめとする当社製品には、「使いやすい」、「壊れにくい」といった多くの信頼が寄せられ、数々の実績を積み上げてきました。今後も患者様の命と健康を支える確かな製品を提供するため、社員一人ひとりの感謝の気持ちを込めて、愚直にコツコツと取り組んでまいります。「人生100年時代」と言われる時代の変化とともに生活様式も変わり、ライフスタイルも変化していきます。その中で、当社は常に患者様、医療従事者の皆様の立場に立ち、お役に立つ製品を開発してまいります。

■会社データ

所在地:埼玉県さいたま市西区中釘652
設立:1962(昭和37)年3月5日
代表者:金坂 良一
資本金:1,000万円
従業員数:100名(2023年3月末現在)
事業内容:医療機器の製造及び輸入
https://sanko-med.com/

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