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化学系廃棄物の処理という“一番後ろの最先端技術”を担う【株式会社ハチオウ】

キラリ、企業ハッケン!

2023.06.01

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 環境省がまとめた『産業廃棄物排出・処理状況調査報告書(令和3年度速報値)』等によると、わが国では年間3億7,340万トンの産業廃棄物を排出。その中には化学薬品や廃液、感染性廃棄物など、有害で危険な産業廃棄物が1,690万トンも含まれる。産業廃棄物の処理・リサイクルを手掛ける株式会社ハチオウは、廃棄物処理によって社会や企業を陰から支える貴重な存在だ。なかでも、化学系の廃棄物の処理に優れた実績があり、東京一円を中心に2,000社以上との取引がある。

実験廃液や薬品を安全に処理できる専門企業

●少量多品種な化学系廃棄物の処理ができる高度な分析力、技術力
●事故予防と適正な処理を目的とした化学系廃棄物の発生源管理(CRMS)

社員約110名の半数近くが 理系の大卒

 化学系廃棄物とは、大学の研究室などから廃棄される薬品や実験廃液、工場などから出る工業廃液・有害汚泥などを指す。このような廃棄物の不用意な廃棄は、環境に与える影響が大きく、適切に処理しなければ汚染や事故を引き起こす原因となる。
 だが、「モノの生産に技術が必要なのと同様に、廃棄物を安全に処理するためには廃棄物の特徴に応じた技術が必要となる」と森雅裕社長は語る。廃液から有害物質を取り除く無害化技術は、新しい産業領域。社会の発展を陰で支える最先端技術だ。例えば、工業の高度化に伴い多様な化学物質が用いられるに従い、より高度な廃棄物処理が求められる。それゆえ、「危険な廃液や薬品を安全に処理できるハチオウは、“一番後ろの最先端技術”を担う専門企業」(森氏)と言えるだろう。
 なかでも、優れた分析力、技術力で安全に処理できるのが強みだ。同社には多種多様な企業から様々な化学系廃棄物が運び込まれるが、事前の情報と異なる成分の化学物質が混入してしまうケースがある。その混入は、処理作業中に想定外の化学反応を起こし、有毒ガスの発生や爆発炎上といった大事故に繋がりかねない。そうした「もしや…」に備えるリスク管理能力を同社は大切にし、事故やトラブルを想定した成分チェックを怠らない。また、ICP発光分析装置や蛍光X線分析装置などを用い、人の目では判別できない成分も慎重に調査。その上で、現場の技術者が薬品や廃液の特性や反応に応じて中和や脱水などの適切な処理を行い、無害化を実現している。多種多様な化学物質を見分け、適切に処理する高度な分析力、技術力を持つ同社。他業者には真似ができない領域だ。同社の分析力、技術力の高さの背景には、社員110名のうち、理系の大卒・院卒が47名を占めている
ことにある。
(左)同社に持ち込まれる種々雑多な廃棄薬品
(右)工場に持ち込まれた廃液に異常がないか現場でチェック

化学系廃棄物による事故を防ぐ誇りある仕事

 同社では適性処理と化学系廃棄物に起因する事故を未然に防ぐため、薬品や実験廃液などを排出する企業や大学の現場に常駐し、廃棄物の安全な管理をサポートする事業も行う。Chemical Risk Management Support (CRMS)と呼ばれ、化学系廃棄物の発生源管理をサポートする事業だ。
 実験や研究過程から排出される薬品・実験廃液は少量かつ多品種で、安全な保管や管理体制の構築が難しい場合がある。そこで同社は、社員を企業や大学に派遣し、職員や学生と一緒になって化学系廃棄物の保管管理や法令上の手続き、廃棄方法の教育を含めた排出現場の管理をサポートしている。こうした中で、自社処理工場で蓄えた知識や経験が、他の産業・分野でも応用できる有益な知的財産にもなっているのだ。
 他にも、2011年の東日本大震災で帰還困難区域に指定された福島県の工業団地では、住民の避難後も工場内に原材料となる化学薬品が危険な状態で残されたため、安全に処理する必要があった。その処理を任された同社は、有志の社員が実際に現場に入り、協力会社10社とともに、震災で破損した薬品タンクや、現場に散乱した薬品入りドラム缶などを無事に撤去・処理した。「日本の誰かがやらねばならない仕事。自ら手を挙げた社員達を心から誇りに思う」と森氏はその時を振り返る。
 SDGsや循環型社会の実現が求められる中、同社の重要性はますます高まるだろう。
(左)CRMSのメンバー:大学で廃棄物の発生源管理を担当
(右)福島の帰還困難区域での廃棄物処理作業

《わが社を語る》

化学物資の恩恵が、持続可能な社会と調和するために挑戦し...

化学物資の恩恵が、持続可能な社会と調和するために挑戦し続けます

代表取締役社長 森 雅裕氏

 化学物質は、様々な分野での研究開発や製造の過程で欠かせません。産業の発展と豊かな社会の実現に役立っています。そして、その進歩とともに化学系廃棄物の内容も変わります。スマホの無い生活、パソコンや通信機器の無い社会、エアコンや冷蔵庫の無い住居、医療や医薬品の無い社会は、想像し難いと思います。これらが私達に与えてくれている恩恵に感謝すると共に、循環型社会形成と化学物質コントロールが同時に実現する社会について考え、将来の世代が抱えるであろう負担の軽減に繋がる現実処理に取り組みます。
 志ある人が、現場の経験を積み重ね、一歩ずつ着実に成長し、社会の課題を一つ一つ解決することで、一人一人が自分の花を咲かせてゆけるよう、その土壌を育てます。
 そして、未来に向けた架け橋の為に、小さな技術・サービスでも愛情をもって挑戦してゆきます。

■会社データ

所在地:東京都八王子市四谷町1927-2
創業:1972(昭和47)年2月
代表者:森 雅裕
資本金:3,000万円
従業員数:110名
事業内容: 環境保全関連のコンサルティング業務、産業廃棄物・特別管理産業廃棄物な
どの収集運搬・中間処理業務、フロン回収・処理業務、リサイクル業務など
https://www.8080.co.jp/

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