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シリコンサイクルの中でも着実に成長発展を持続【株式会社フェローテックホールディングス】

キラリ、企業ハッケン!

2023.06.02

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ニッチトップ/M&A戦略が奏功

●宇宙での利用が目的の「磁性流体」から独創製品生み出す
●日本回帰、石川県や熊本県で、工場・サービス拠点新・増設相次ぐ

6分でわかるフェローテック

 半導体関連を中核事業とし、各種の電子デバイス・産業機器を幅広く手がけているのがフェローテックホールディングスだ。その多くが、市場規模は小さくても高いシェアを持つ「ニッチトップ製品」であるのが大きな強みとなる。多数の製品群を抱えていることで、半導体不況が周期的に訪れるシリコンサイクルのダメージを緩和し、右肩上がりの成長発展を続けている。
 同社の原点は1980年に米国企業(フェローフルイディクス社)の子会社として発足した日本法人。その後、親会社から独立し、さらに親会社を買収して今日に至る。現在の主力事業は半導体製造装置向けの部品・材料・消耗品・サービスの提供で、売り上げ全体の6割を占めている。代表的製品が、不純物のない密閉空間をつくるための「真空シール」だ。真空シールは米フ社が宇宙での利用を目的に生み出した「磁性流体」に基づく独創的な製品で、同社ニッチトップ製品の代名詞ともなる。
 磁性流体は、磁石に引き寄せられる不思議な流体であり、機能性素材と言えるもの。活用分野は多岐にわたり、同社電子デバイス事業のスピーカー、アクチュエーター、センサ、スマホ等の製品にも用いられている。電子デバイス事業では、温度センサ、サーモモジュールなど熱や温度を制御する素子も得意としており、多方面に納入している。
(左)温調デバイス サーモモジュール
(右)パワー半導体絶縁基板
(左)セラミックス
(右)真空シール

米国生まれ、日本育ちで、 中国で成長

 同社製品のメーンターゲットとなる半導体製造装置は、中国、韓国、台湾が3大市場となっているほか、欧米各国にも有力顧客が数多い。そのため、1992年の中国進出以降、世界各地に製造・販売拠点を設立し、グローバル展開を加速させている。現在、中国国内11カ所に工場を持ち、米国、ドイツ、台湾、マレーシア、シンガポール、韓国などに、製造と販売を合わせて合計25の海外拠点を構えている。
 賀賢漢代表取締役社長は中国で生まれ日本に留学し、早稲田大学、日本大学で学んだあと、フェローテックに入社した。「米国生まれの日本育ち」と言える同社は、入社間もない賀社長が指揮を執った中国進出を機に大きく成長した。
 中国、米国、日本を熟知する賀社長は「ハングリー精神が根強いのが中国で、アイデアがあり自由なやり方を好むのが米国。日本は1990年代からは保守化し、競争力を失ってきた。中小企業などにいい技術はたくさんあるが、活かせていない」と見ており、各国の長所を”いいとこ取り”する経営を実践している。
 その一つにM&A(合併・買収)戦略を挙げられよう。いい技術を活かし切れていないような企業を次々と買収し、買収案件の大半を成功に導いている。現在の主力製品である石英、セラミックス、シリコン、CVD-SiC(気相成長法による炭化ケイ素)などは、いずれもM&Aの成果となる。賀社長はM&A成功の秘訣を「文化が違う会社を一つにするのだから難しいのは当たり前。相手の視点に立って、何を一番欲しているかを知ることが何より大切」と解説する。
本社集合写真

本社集合写真

IR事業紹介動画 2022

会社は学校。 仕事しながら学ぶ

 同社の売上高は前期(2023年3月期)に初めて2,000億円の大台を超えた。中長期の目標として8年先の2031年3月期に売り上げ5,000億円、純利益500億円を掲げている。目標達成に向け、需要増が必至のEV(電気自動車)関連の投資などに力を入れている。
 また、「日本回帰」も推進する。政府が国策として半導体産業の振興を打ち出したことに対応する措置であり、石川県白山市や、日本のシリコンアイランド=熊本県大津町で、工場・サービス拠点を相次ぎ新・増設中だ。
 高水準の企業成長および日本回帰が相まって、国内での人材獲得が喫緊の課題となっている。そのため、新卒と中途採用を並行して進めているが、賀社長は「日本の大学には優秀な学生が少なくないので、特に新卒学生にたくさん来ていただきたい」と期待を寄せている。
 賀社長は日本留学の前に、中国・上海で教師をしたというユニークなキャリアの持ち主。自身の体験を踏まえて「会社は学校と同じ。どちらも、いかに人を育てるかが重要で、会社は仕事をしながら勉強するところ」と、会社=学校の見解も披露する。
(左)製造現場
(右)本社男性社員

<<わが社を語る>>

会社DATA

仕事はノープレッシャーで、笑顔で

仕事はノープレッシャーで、笑顔で

代表取締役社長 賀 賢漢(が けんかん)氏

 多くの工場が稼働している中国をはじめとして、連結ベースで合計1万2,000人の社員が働くグローバル企業です。近年は成長に弾みがついており、2年前は1,000億円に届かなかった売上高が前期は2,000億円を上回りました。今後も高い伸びを見込んでいます。
 日本回帰に今、取り組んでいます。そのシンボルとなるのが、熊本への進出です。県の熱意にほだされ、昨年3月に進出を決めました。多くのデバイスメーカーが集積した熊本は当社の事業と100%合致すると確信しています。仕事観としては、仕事は趣味、遊びと同様、ノープレッシャーで笑顔で取り組むことが望ましいと考えています。そのためには文化が大切なので、良い文化、良い職場環境の醸成を、常に心がけています。

トップの言魂

本社所在地: 東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル
設立: 1980年9月
代表者: 賀 賢漢(が・けんかん)
資本金: 294億2,565万円(東証スタンダード上場)
社員数: (単独)76人 (連結)13,116人(2023年3月31日現在)
事業内容: 半導体等装置関連製品、電子デバイス、産業機器等の製造販売
https://www.ferrotec.co.jp/

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