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独自技術で高利益率を実現するニッチトップ企業【イソライト工業株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2024.01.19

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独自技術で高利益率を実現するニッチトップ企業

 イソライト工業株式会社は、耐火断熱煉瓦と高温断熱ウールに代表される高温用耐火断熱材の製造・販売を通じて熱産業の省エネルギー化に貢献している。とりわけ1000℃を超える高温環境下での断熱を実現するため、セラミックウール技術と多孔質化技術を基盤に新製品を提供し、熱産業だけでなく防災や環境保全など幅広い分野で社会に貢献している。
 同社は京都帝国大学(現・京都大学)の吉岡藤作教授と日本板硝子出身の森源之助が能登半島に眠る豊富な珪藻土に着目し、1927 (昭和2)年に大阪で創業した。当初は七輪を製造していたが、翌年に石川県七尾市の和倉温泉駅前に工場を建設し、断熱煉瓦の生産を始める。燃料資源の乏しい国内産業界の省エネルギー化に寄与すべく、技術の改良に努めてきた。

規制に対応してステップアップ
「深化」で慎重に足元を固め、「探索」で果敢に成長
本社ビル外観

本社ビル外観

珪藻土原料採掘場

珪藻土原料採掘場

2度の大きな規制が差別化と成長のチャンスに

 1962年に米国法人Babcock & Wilcox Companyの技術導入による最高品質の耐火断熱煉瓦を量産し、1967年にはイソライト・バブコック耐火(株)を設立してセラミックファイバー(現「イソウール」)の国内生産に着手した。優れた断熱性を実現する製品にもかかわらず、当初はなかなか販売が伸びなかったという。転機となったのは、1973年に世界を襲った「第1次石油ショック」だ。石油価格の暴騰で省エネルギーが国是となると、高い断熱性を持つ同社の製品が注目され受注が殺到した。
 もう一つの転機は2015年の特定化学物質障害予防規則・作業環境測定基準等の改正だ。窯炉の天井や炉壁の耐火材、断熱材などに利用されていたリフラクトリーセラミックファイバー(RCF)が特定化学物質に指定され、予防規則の適用を受けることとなった。これを受けて同指定に該当しないアルカリアースシリケート(AES)の生体内溶解性製品や結晶化繊維(PCW)製品を使用した「ひとにやさしい製品」づくりで業績を大きく伸ばした。
 2020年にはセラミックファイバーとアルミナファイバーを手がけるトータルファイバーメーカーの(株)ITMを合併。幅広い商品ラインアップと世界トップクラスの技術力を持つ、高温耐火断熱材のリーディングカンパニーとして確固たる地位を築いた。現在の売上比率はセラミックファイバーが7割、耐火断熱煉瓦が2割、その他が1割となっている。最近では熱工業用だけでなく、電子部品やリチウムイオン電池向けの材料熱セラミックファイバー処理関連ビジネスが増えているという。
(左)セラミックファイバー
(右)耐火断熱煉瓦

他社にできないきめ細かい製品づくりで飛躍

 素材から2次、3次の加工品まで一貫して対応でき、他社にできないきめ細かい製品づくりが顧客から高い評価を受けている。成形品・加工品など高付加価値なニッチトップ製品も多く、2022年3月期の経常利益は過去最高を記録した。売上経常利益率(ROS)も20%と極めて高く、2023年3月期も同程度の水準を維持している。エンジニアリング事業も手がけており、断熱工事の設計から施工、メンテナンスまでトータルで提供できる。
 同社の強みは研究開発力。国内360人の社員中1割近い約30人が研究職だ。軽量で耐熱性に優れた新素材を開発し、省エネなどのカーボンニュートラルやSDGsに対応した製品づくりが他社の追随を許さない。
 デジタルトランスフォーメーション(DX)要員を増やし、ビジネス変革も進める。同社は社員の自主性を重んじ、仕事や教育などについて上司と話し合いながら自ら考えて問題解決する「自走力」重視の社内環境づくりをしてきた。ここ5年間で20人以上の若手社員を採用しているが、離職者はわずか1人だけだ。
 同社は今年で創立96年目を迎え、キャッシュを生む断熱材事業の「深化」と、電子・半導体・リチウムイオン電池向けなど新規分野を育成する「探索」の「両利き経営」により、100周年の節目を迎えるにあたって盤石な体制で臨もうとしている。地球温暖化など次世代の課題解決に役立つビジネスで、さらなる発展を目指す。
地球環境に優しい耐火断熱製品のグローバル供給

地球環境に優しい耐火断熱製品のグローバル供給

社長 金重 利彦氏

 わが社は、カーボンニュートラルの実現に必要不可欠な耐火断熱材料のパイオニアです。今後、世界規模で化石燃料からクリーンエネルギーへの転換が進みます。この転換に重要な役割と使命を担うのが耐火断熱材料です。わが社は、時代の要求に沿った新製品を開発し、市場に提供することで、鉄鋼や非鉄、ガラスなどの素材産業から自動車関連や燃料電池の部材、半導体や電子部品の製造ツールへと適用される用途が拡大しています。わが社の製造している耐火断熱材は、これからも社会や市場のニーズに応じた進化を遂げ、その用途も住宅建材への適用など、更に広がりつつあります。社是である「創意と調和」の理念を大切に、人と地球環境に優しい耐火断熱製品の開発と供給により、持続可能社会の実現に貢献して参ります。

会社DATA

所在地:大阪市北区中之島三丁目3番23号
設 立:1927(昭和2)年11月25日
代表者:金重 利彦
資本金:31億9,650万円
従業員数:単体:340名、グループ:684名(2023年4月1日現在)
事業内容: ■断熱関連事業=セラミックファイバー各種製品、耐火断熱煉瓦の製造・販売等 ■その他事業=高温集塵用セラミックフィルター、高機能セラミックファイバー質成形体
http://www.isolite.co.jp/

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