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金属粉・金属箔の専門技術をベースに新素材・新用途を開発 【福田金属箔粉工業株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2024.01.19

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 福田金属箔粉工業株式会社は金属粉・金属箔の専門技術をベースに、印刷用顔料などの装飾用途から、高速伝送性・耐屈曲性を兼ね備えた金属箔、ナノ(10億分の1メートル)粒子、3D(3次元)プリンタ用の金属粉などの先端素材まで、時代の要請に応える様々な素材・用途を開発し、幅広い産業分野に提供している。歴史は古く、1700年(元禄13年) に福田鞭石(べんせき)が京都の松原通室町で、金銀の箔や粉を扱う「井筒屋」を創業。2代当主の福田練石(れんせき)が、堅実経営と企業の社会性重視を柱とする家憲「家の苗」を記し、以来この理念を継承している。ニーズから発想し、シーズから創造するメタルスタイリストFUKUDAとして「箔」と「粉」の可能性を探求し続けている。

東京支店は再生可能電力100%運用、京都工場を順次建て替えへ

・創業320 年超。金属粉1000 品種以上をそろえ2022 年売り上げ506 億円
・粉末冶金材料で金属ロス削減、リサイクル金属利用で金属資源循環に貢献
電子部品、包装材料、建築材料に使われている金属箔

電子部品、包装材料、建築材料に使われている金属箔

箔と粉の融合による事業拡大を模索し、研究開発を進める

 福田金属箔粉工業の売上高は506億4700万円(2022年12月期)で、金属粉・金属箔業界において福田金属に相談すれば何とかしてくれる、デパートのような存在、となることを目指している。売上高の内訳は金属粉が75.9%、電解箔が22.4%、アルミ箔・その他が1.7%。このうちアトマイズ法、電解法、化学還元法、粉砕法を中心に多様な製造方法を有し、1000種類以上を提供している。滋賀工場(東近江市)には大小様々な溶解炉があり、世界トップレベルの生産量を誇る。
 園田修三社長は「多様な製造技術を持っていることで、顧客に最適な提案ができる。それが強み」と総合力を強調する。同社が製造する金属粉の主要な用途の一つに、粉末冶金がある。「当社が提供する金属粉を、顧客はプレス成型の後、加熱・焼結させる。粉末冶金は、鋳造(鋳物)や切削加工(削り出し)といった方法よりも材料ロスが少なく、複雑形状の金属部品でも大量に生産できる」(園田社長)として、機械部品分野に広く普及しており、技術の進歩に伴い品質への要求が多様化する中、同社は幅広い製法・ラインナップでそれに応えている。近年は環境負荷の低減も重要な課題だが、プリント配線板に使われる同社の電解銅箔の原材料は、100%がリサイクル品であるなど、金属資源の循環利用にも貢献している。
 同社は、ひたすら金属粉、金属箔に特化して事業を行ってきた。園田社長は「お客様の分野には手を出さず、製造・販売・技術一体でお客様の困りごとの相談に応じることを通じて、事業を成長させてきた」と振り返る。
 現在は「箔と粉の融合による事業拡大を模索し、研究開発を進めている」(同)。金属粉・金属箔事業は、両者の融合により一層進化を続ける。
(左)銅粉(金属3Dプリンタ用)
(右)銅粉を用いた3Dプリンタ造形例

働きやすさを追求し実働7時間15分、育休は男性にも取得を推進

 福田金属箔粉工業は現在、1908年(明治41年)の開設以降、事業の発展に伴って拡張させてきた京都工場の順次建て替えを計画している。京都工場は2007年にコージェネレーションシステム(熱電併給)を更新しており、今では更新前に比べ燃料使用量を21%削減、CO2排出量を年3600トン削減したほか、排水の65%をリサイクル、生産工程から生じる各種集荷物のリユース・リサイクルを実現している。建屋更新に関して、すでに東京支店(東京都中央区日本橋)はビル所有者のうちの1社として2021年12月に建て替えを完了、12階に入居して「再生可能電力100%で運用している」(園田社長)。滋賀工場や中国の子会社(江蘇省蘇州市)を含め、未来を見据えて拠点整備を進めている。
 歴史ある同社だが、実働時間が7時間15分(拘束時間8時間15分)、有休消化率50%以上、平均残業時間が月20時間以内と、働きやすい会社だ。園田社長も「働きやすくするための改革を行っている」。
 今後について園田社長は「違った金属、材料が出てくれば科学や技術は飛躍的に進歩する。周辺技術とともに変わるし、分析技術による革新もある。これからも伸びる余地はある」と見通している。

《わが社を語る》

目指すのは強い会社。失敗を恐れずチャレンジ

目指すのは強い会社。失敗を恐れずチャレンジ

代表取締役社長 園田 修三氏

 人は宝です。人を大事にして業績を伸ばします。福田金属箔粉工業は、そうやって323年続いてきました。社是は「われわれはつねに創意工夫をこらして仕事の改善をはかりわれわれの生活の向上とよりよい社会の建設につとめよう」です。諸先輩が、この社是を実行してきました。「失敗を恐れず、チャレンジしよう」と呼びかけています。
 目指しているのは大きな会社ではなく、強い会社です。小さくても「ここにFUKUDAあり」と言われるように、身のほどをわきまえ、地道にやっていきたいと思っています。これからも金属粉と金属箔を極め、幅広い産業分野に高機能材料を提供し、社会に貢献できるよう努めてまいります。

■会社データ

所在地:京都市山科区西野山中臣町20番地
創業:1700(元禄13)年
設立:1935(昭和10)年1月10日
代表者: 福田 健
園田 修三
資本金:7億円
売上高:506億4700万円(2022年12月期)
従業員数:659名(2022年12月末現在)
事業内容:各種金属箔・金属粉の製造・加工、販売
https://www.fukuda-kyoto.co.jp/

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