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本当にゼロからの技術を見ることができるのは、 NICTにいてこそ【国立研究開発法人情報通信研究機構】

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2024.01.18

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 “理系”といっても、生物学、化学、工学、医学、などなど、様々な分野があります。その中で、“情報通信技術(ICT)”を専門とした研究機関が、『国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)』です。
NICTでは、現役の大学院・大学生や高等専門学校生たちが、「インターンシップ(研修員)」や「リサーチアシスタント(以下、RA)」という形で活躍しています。今回インタビューした六川慶美さんもその一人です。六川さんは現在、修士課程で補償光学系を用いた大気ゆらぎの補正効果の研究を行う傍ら、NICTのRAとして、陸・海・空・宇宙をつなぐ通信ネットワークに関する実験や学会への参加、展示会での説明対応などを行いながら、現役研究者による指導のもと、修士論文の作成に取り組んでいます。 
 そんな六川さんの目に映ったNICTやRAの魅力、そして、RAに関心がある現役学生の皆さんに伝えたいことをお聞きしました。

― 六川さんはいつからNICTのRAとして勤務されているのでしょうか?

六川:大学4年生だった2022年5月からです。最初は宇宙通信システム研究室の研修員として卒業論文を書くために研究を始めましたが2022年10月からRAとして働き始めました。

― NICTを知ったきっかけは何でしたか?

六川:大学3年生の時(2021年)に、NICTのQuantum Camp*1 に参加したのがきっかけです。そこにいらしたワイヤレスネットワーク研究センターの豊嶋研究センター長の宇宙通信についてのお話に興味を持ちました。以前から宇宙通信に興味を抱いていたこともあり、担当教授に伝えたところ、大学ではなく外部機関で実験した内容を卒業論文にできると教えていただきました。その後、豊嶋さんにご相談して今に至ります。

― 修士課程に進むつもりだったのですか?

六川:はい。私が在籍している国際基督教大学には、学部4年生から修士課程の授業を受け、修士1年で卒業、つまり、合計5年で修士を取得できるプログラムがあり、それに私も参加するつもりでした。

― 修士課程に進学、ということは、将来的に研究職を視野に入れている?

六川:もともと研究職には興味がありましたが、研究をしている方が身近にいなかったので、ぼんやりとしたイメージだけで実際にどういう仕事かは分かっていませんでした。そういうこともあって、NICTで働いてみたのですが、今ではかなり本気で研究職をめざしています。
豊嶋研究センター長とともに衛星光通信を子供たちに紹介

豊嶋研究センター長とともに衛星光通信を子供たちに紹介

― 実際にNICTに入ってみてどうでしたか?例えば、驚いたことはありますか?

六川:リモートワークができることがまず衝撃でした。研究者って、ずっと実験室で研究しているイメージで、まさかリモートワークができるとは思っていなかったんです。

― コロナ禍で、リアルな体験や交流が少ない中、相談や質問をしたいときにできなかった、など不便に感じたことはありませんか?

六川:私の指導担当者である斉藤主任研究員が、週一回、私のための勉強会を開いてくださっていて、質問したいことはそこでまとめて聞けたので、寂しさや物足りなさはほとんどありませんでした。強いて言えば、所属部署に同じ年代の人がいないので、「私はこれで大丈夫なのかな?」という不安はありましたね。

― 勉強会はリモートだったのですか?

六川:いつも対面でした。それもありがたかったです。
   この勉強会は、私が質問や相談するだけの一方向ではなく、研究者さん達と一緒に勉強する形になっています。最初のテーマは「補償技術*2」だったのですが、まずは東北大学の方が書かれた分かりやすい修士論文を選び、その論文を読むにあたって必要な知識を他の論文から学び、様々な論文を一緒に読みながら学んでいきました。それでも足りない知識を、宇宙通信システム研究室の辻室長や斉藤主任研究員にフォローしていただいています。
毎週開催される勉強会は、研究者に直接質問し、説明や指導を受けられる貴重な機会

毎週開催される勉強会は、研究者に直接質問し、説明や指導を受けられる貴重な機会

― 現在、1週間にどの程度、勤務されているのでしょうか?

六川:契約では週に3回となっていますが、時間給ということもあり、大学の研究室で用事がある時はお休みをいただくなど、柔軟に対応していただいています。

― 六川さんは研修員からRAになられましたが、RAになって良かったと思いますか?

六川:はい。研究者の仕事を間近で学びながら、自分の卒業論文や修士論文の研究に活かすことができるのはとてもありがたく、この上ない環境です。
展示会で来場者に研究内容を説明する六川さん

展示会で来場者に研究内容を説明する六川さん

― 論文のための研究以外に、NICTでやりたいことはありますか?

六川:    いろんな実験に参加したいです。2022年はスカイツリーでの実験に参加しましたが、大学ではそういった規模感の実験はあまりできないので、NICT在籍中にたくさん参加できたらと思います。

― 大学とNICTで一番違う点はどこでしょう?

六川:    設備は全然違いますね。宇宙規模の内容になってくると、特に理系学生が少ない大学は難しいです。
宇宙空間の人工衛星と地上とで光通信を実現する口径1.5m光望遠鏡(地上局)

宇宙空間の人工衛星と地上とで光通信を実現する口径1.5m光望遠鏡(地上局)

― これからNICTでRAとして働くことを考えている人に、先輩として伝えたいことはありますか?

六川:    ある程度まとまった時間をNICTに居られるように確保しなければならないので、大学の授業がたくさんある場合は難しいかもしれません。でも、チャンスがあるなら参加すると良いと思います。
  私自身、RAとして働き始める前は、この分野の知識や見識がないので「大丈夫かな」と不安でした。でも、いざ飛び込んでみると、知らなかったことを沢山学ぶことができました。
  それに、勉強会や実験など、プロの研究員に囲まれて学べるのはとても贅沢な時間だと思っています。どういうプロセスで新しいものを考え、研究を始めるか、というのは、学生として大学にいるだけでは分かりません。本当にゼロからの技術=研究開発を、リアルに見て学ぶことができるのは、こういった研究機関にいてこそだと思います。

― 勇気を出して行動した結果、素晴らしい体験ができているのですね。ありがとうございました。
宇宙通信システム研究室の辻室長、斉藤主任研究員との勉強会にて

宇宙通信システム研究室の辻室長、斉藤主任研究員との勉強会にて

取材を終えて

インタビュー後、宇宙について研究している機関がほかにもある中でNICTを選んだ理由をお聞きしたところ、「宇宙というより、そこへ届く技術に興味があったからです」と笑顔で即答されたのが印象的でした。
NICTには、六川さんのほか十数名*3のRAが在籍し、通信やサイバーセキュリティ、AI、脳情報など、各方面で活躍しています。ご興味のある方は、ぜひNICTのホームページをご覧ください。
※本インタビューは2023年5月に実施されました。
*1 Quantum Camp:量子ICT人材育成プログラム「NICT Quantum Camp(NQC)」 。https://nqc.nict.go.jp/
*2 補償技術:衛星光通信において、大気ゆらぎの影響を除去して通信品質を改善するための技術。 https://www2.nict.go.jp/spacelab/pj_h008.html
*3 2023年11月時点
 (1481)

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)

<本部>
東京都小金井市貫井北町4-2-1
※国内主要拠点 他全国に9拠点

情報通信研究機構(NICT)がより深くわかるWebサイト

▼NICTってどんなところ? PRムービー『Nのいる未来 A.D.203X』
▼NICTではどんな研究をしているの?|『NICTステーション』
▼NICTで働くには?|NICT研究職・研究技術職採用サイト

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