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国内で初めて金属板の複雑な曲げ加工を完全自動化する機械を開発【株式会社吉野機械製作所】

キラリ、企業ハッケン!

2024.12.17

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 株式会社吉野機械製作所は、プレスブレーキ(金属板曲げ加工機)を得意とする産業機械メーカーだ。通常、加圧100トン、曲げ長さ3メートルを超えると油圧式が一般的だが、同社は電動サーボ駆動で世界初の加圧400トン、曲げ長さ6メートルを実現。油圧式に比べ200トン機における相対比で消費電力が4分の1、静音・低振動化も達成。また、複数台使用していた加工機を1台に集約する自動工具交換装置(ATC)機構を開発し、段取り時間を大幅短縮した。これを土台に、2024年9月にはロボットへの教示作業(ティーチング)を大幅に削減した国内初の完全自動曲げシステムを開発、すでに海外企業から引き合いが寄せられている。

ドア枠・間仕切り補強材など建材向けで世界トップシェア狙う

●2021年に第2工場竣工、25年3月には第3工場竣工予定と投資活発
●海外マーケティング担当部署を設け海外展開へ、売り上げ100億円目指す

23年就任の3代目社長が社内改革を推進中、海外から技術吸収も

 吉野機械製作所は戦後間もない1948年、汽車の部品加工の下請け会社として吉野通利氏が創業した。2013年に電動サーボプレスブレーキ「YSPシリーズ」を開発、15年2月には約8億円を投資して現本社工場の千葉市緑区に移転、3Dデータによる設計支援ソフトウエアを導入して設計、製造の生産性を大幅に向上した。
 21年には大型自動省力化ラインに対応した組み立て作業専用の第2工場を竣工。
 23年1月には吉野友章氏が3代目社長に就任し、一気に社内改革を推し進めている。その成果の一つが、国内初の金属板完全自動曲げシステムだ。この開発には千葉県の「先進的デジタル技術活用実証プロジェクト補助金」を活用。ロボットCAMシミュレーション開発では吉野社長が築いた海外メーカーとの協力関係が大きな役割を果たした。
 また、さらに開発を推し進めるべく、産学官の連携・大手工作機械メーカー等の協力体制のもと24年6月には、「Go-Tech事業(成長型中小企業等研究開発支援事業)」に採択。本事業では、ドアパネル等のパネル材まで対応した複合機の完全自動曲げシステムを27年販売目標に開発する。
 ビル、マンション、ホテル、オフィス、医療施設などのドア枠、間仕切り補強材は複雑な形状で、細かく押しつぶしたり曲げたりする必要がある。多くの企業では、人が最適な金型と曲げる順番を考え、金属板を機械に差し込んでいる。しかし、これでは「人手不足や技術者の高齢化に追い付いていけない」(吉野社長)。完全自動曲げシステムは、金型セットと曲げ順を自動検索し、ロボット軌道の自動生成・シミュレーションを行う。ATCも電動サーボ駆動にし、精度、安全性、生産性、さらには製品の品質においても大幅な改善を実現した。
業界初、ティーチングレス(教示レス)で複雑曲げ加工を完全自動化

業界初、ティーチングレス(教示レス)で複雑曲げ加工を完全自動化

前向きな行動を評価、家族で高級ホテルに1泊できる社長賞が好評

 吉野機械製作所の25年1月期売上高は約18億円を見込む。大手建材メーカーに多数納入している電動サーボプレスブレーキが半分近く、顧客のニーズに応じた専用自動省力化ラインを開発・設計および構築する事業が約7億円を占める。25年3月には第3工場が竣工し、生産能力を増強、完全自動曲げシステムは26年1月期に国内だけでも5億円の売り上げを目指す。28年1月期には全体の売上高を30億円程度と見込んでいる。吉野社長は「今後10年以内に売上100億円を達成し、世界市場でさらなる飛躍を遂げたいという強い意欲を持っています」と野心を燃やす。
 鍵となるのは優秀な人材の確保だ。「Go-Tech事業」を通じて千葉県産業支援技術研究所、木更津工業高等専門学校、産総研との連携を深め、先進的な技術開発をSNSなどで発信することにより「優秀な人材が次々と入社してくれている」(吉野社長)という。ただ、第2工場、第3工場の稼働により「DX推進委員会で無駄をなくすよう努めていても人材は足りない」(吉野社長)。今後の海外展開に向けて部署を設けた海外マーケティングは中途採用の人材を中心に運営する計画としている。
 社内の雰囲気は、業績が好調で、画期的な新製品も開発していることから明るい。吉野社長は「毎年昇給しており、業界内でも高水準の給与を提供しています。業績が上がれば、年3回の賞与を出す」とアピール。このほか「四半期に一度、バーベキュー大会を行い、家族で高級ホテルに1泊できる社長賞を出している。前回はRPAと呼ばれるソフトウエアで日報を自動化した設計事務の女性社員だった」(吉野社長)と、前向きな行動を評価しあう社風づくりに努めている。
(左)若手も自由で活発な議論ができる職場
(右)海外展示会での新製品に関する打ち合わせ風景

《わが社を語る》

自由闊達な雰囲気で前向きに挑戦する仲間よ来たれ!

自由闊達な雰囲気で前向きに挑戦する仲間よ来たれ!

代表取締役CEO 吉野 友章氏

 吉野機械製作所は2023年に設立75周年を迎え、私が3代目社長として重責を引き継ぎました。情熱をもって事業を展開し、新たなイノベーションを生み出すことが使命です。独自の技術を常に探求する中で、国内初の完全自動曲げシステムを世に出すことができ、これから本格的な海外展開を始めるので、今後、様々な分野で人材の厚みを増していかなければなりません。
 機械に興味がある、もしくは好きな方、自らスキルアップのアクションを起こせる方、チャレンジ精神が旺盛で前向き思考の方が求める人物像です。社員一人ひとりが働きがいを持ち、豊かな人間関係を築ける自由闊達な雰囲気の会社づくりを目指しています。ぜひ、我々の仲間に加わっていただき、一緒に社会貢献をしていきましょう。

■会社データ

所在地: 千葉県千葉市緑区大野台1-5-18
拠点:本社工場、第2工場、第3工場(計画中)
設立:1948年3月
代表者:吉野 友章
売上高: 18億円(2025年1月期)
従業員数: 60人(2024年9月30日現在)
事業内容: 板金工作機械と、それらを用いた自動省力化ラインの設計・製造・販売
https://yoshino-kikai.co.jp/

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