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ミクロン単位の精密微細加工技術で 繊維から最先端分野へ【株式会社化繊ノズル製作所】

キラリ、企業ハッケン!

2026.02.12

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・手作業や独自の工具づくりで競争力を維持
・ベテランが若手を指名して計画的に技能継承
合成繊維は合成樹脂などの原料をノズルと呼ばれる口金から押し出し、引き伸ばして繊維状に加工する。ノズルは合成繊維の品質や生産性を左右する重要部品の一つで、繊維形状や原材料に合わせ、個別に製作する必要がある。株式会社化繊ノズル製作所は合成繊維用ノズルで国内トップシェアを誇るほか、世界の大手繊維メーカー100社以上への納入実績を持つ。また、紙おむつやナプキンなどに使われる不織布製造用ノズルや、フィルムシート成形用押し出し金型なども手がけ、これらの製品も国内外に供給する。
 紡糸用ノズルにはミクロンサイズの孔(あな)があけられており、精度の高い微細加工技術が必要になる。製造現場では孔の切削加工のほか、加工後のバリ取り、表面処理などの作業が進められるが、各工程で熟練技術者による手作業にこだわり、機械ではできないモノづくりを続けてきた。また、ミクロン単位の加工を施すために、社内で市販の工具を改造したり、棒材からオリジナルの工具をつくり出したりすることも日常的に行っている。ベテランが若手を指名して指導したり、コンビを組んで作業に当たったりするほか、技能習得のスケジュールや目標なども設定して計画的に技術継承を進める。
 戸川和也社長は「元々、微細な孔加工に適した市販品の工具がなかったため、自社で工具を作り出す文化が生まれ、それを長年受け継いできた。技術を磨く中で、次第にサブミクロン(1000分の1ミリ以下)の加工もできるようになり、それとともに工具を製作する職人のスキルも上がってきた」と話す。
半導体製造装置の製造・組み立てを行う新工場「早雲VILLAGE」

半導体製造装置の製造・組み立てを行う新工場「早雲VILLAGE」

半導体装置事業に進出

 また、顧客とともに研究開発を進める姿勢も大事にしてきた。ほとんどが受注生産のため、技術者が打ち合わせに出向き、細かい要望に合わせて製品を設計する。東江原工場(岡山県井原市)にあるR&Dセンターには紡糸用パイロット機や不織布テスト機などの製造装置もそろえる。紡糸用や不織布製造用ノズルの場合、単純な丸孔のみならず、「H」や「C」、「*」など、さまざまな異形孔も求められるため、特殊な工具や技術を用いて対応している。異形状の孔を通じて紡糸される繊維には保温性、光沢、風合いなど、各種の機能を持たせることができるため、新製品開発を目指す顧客からの相談や依頼も多い。
 1948年に戸川社長の祖父が創業した。2012年、経営トップに就任した戸川社長はノズル製作など既存事業の強化を図るとともに、新分野の開拓や新規事業の立ち上げに力を入れてきた。これまでの半導体製造装置の部品やユニット製作の実績を基に、製造装置の製造・組み立て事業に本格的に参入し、2025年4月には東江原工場内に専用工場を稼働させた。また、ゼラチンなど生体適合材料をノズルからフィラメント状に成型する装置を大学と共同開発しており、再生医療分野の細胞培養足場材としての活用など、事業化に向けて用途開発も進める。

100周年へ若手が議論

 2024年6月から20代、30代の若手従業員を中心に、会社の未来像や経営課題などについて話し合う「100年企業プロジェクト」をスタートさせた。その提言を受け、現在は全社で生産の低コスト化や既存技術転用のための環境整備などのテーマに取り組んでおり、その成果の検証やテーマの見直しも定期的に同プロジェクト内で行っていく。「100周年に向けては毎年収益を確保し、存続し続けることが大前提となる。その上で、既存事業に満足するだけではなく、新しいビジネスを常に生み出し続けなければいけない。ようやく一つ、半導体製造装置という事業が実を結ぼうとしているので、それと並行して次のビジネスの種も大きく育てていきたい」と戸川社長。2048年の創業100周年に向け、さらなる経営基盤の強化や事業育成に全社一丸となって取り組む。
100年企業プロジェクトで若手が経営陣に積極的に提言

100年企業プロジェクトで若手が経営陣に積極的に提言

代表取締役社長 戸川 和也氏

代表取締役社長 戸川 和也氏

〈経営理念〉
サブミクロンの技術で最先端技術を支える
〈経営ビジョン〉
1.世界トップの技術をチャレンジングに開発し続ける、高付加価値、好採算メーカーを目指します。
2.ブランド、ステークホルダーを大切にし、社会から感謝される会社を目指します。
3.自由闊達で、個々人が成長を実感できる職場をつくります。

会社DATA

創業:1948(昭和23)年10月2日
所在地:大阪市北区西天満6丁目3番地17号 みなと梅田ビル
資本金:1,000万円
従業員数:327名(2025年8月末現在)
事業内容:合成繊維用ノズル・不織布製造用ノズル・押出成形金型の設計・製造、各種精密加工
URL:https://www.kasen.co.jp

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