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水圧のパイプ加工機と試験機のパイオニア【株式会社山本水圧工業所】

キラリ、企業ハッケン!

2026.02.02

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・得意技術に絞り込み一貫して長年開発を続け、顧客から信頼を獲得
・顧客ごとにすべてことなる加工設備に応えられる設計力と多様な提案力
 株式会社山本水圧工業所は水圧で金属パイプを成形するハイドロフォーミング機や、鋼管の耐圧性を調べる水圧試験機を主力製品とする。ハイドロフォーミング機はパイプの内側から水で超高圧をかけ、複雑な中空形状に成形できる。同社が1962年、国内で初めて製造に成功した。水圧による剛性向上や一体成形による溶接の不要化など多くの優位性を備え、大型設備のパイプ製造用などで強い競争力を握る。水圧試験機も1954年に鋼管用を完成し国内外へ多く納め、オンリーワン企業となっている。ほかに、冷間引き曲げ加工のパイプベンダー機や油圧プレス機なども手がける。曲げから油・水圧までパイプ加工を総合的に提案し、設備や自動車・電機関連など多くの顧客企業を開拓してきた。

鋼管水圧試験機を世界16カ国へ290台納入

 1930年、初代の山本俊雄氏が大阪市で創業した。水圧機から始め油・水圧技術を高め、1954年に水圧による鋼管の耐圧連続試験装置を製鉄所に納入した。鋼管水圧試験機は山本水圧工業所が成長する技術の原点となり、超高圧水によるハイドロフォーミング機につながった。以降、鋼管水圧試験機を世界16カ国へ290台納めている。山本知弘社長は俊雄氏を祖父とし、4代目にあたる。大学院で機械工学を学び25歳で入社後、2002年に経営トップを継いだ。「鋼管水圧試験機は特注品であり常に注文があるわけではないが、数が多く出ていた時代は世界一と呼ばれた」と振り返る。ハイドロフォーミング機は軸方向に圧縮荷重を加えることでパイプの肉厚が薄くならないほか、高品質加工、軽量化、コスト低減などの優位性もある。設備用のほか自動車、家電、住設など民生品用に用途を広げている。

超高圧水生成の製法技術は門外不出

 開発では「ほとんどがオーダーメードであり、小さな案件でも設計する」(山本社長)のが特徴だ。このため設計部門は営業部門より社員が多く、営業要員は設計出身という場合が多い。パイプベンダー機も原子力発電やボイラーの配管パイプといった特殊・大型設備の用途が中心になる。ハイドロフォーミング機や水圧試験機も同様に、常に需要がある量産加工機とは異なる。かつてハイドロフォーミングの成形がブームとなり、競合他社が現れた時代もあった。しかし需要が安定せず競合は撤退し、開発をやめなかった山本水圧工業所が唯一のメーカーとして存在感を放っている。ほかに頼れる企業はなく、顧客がハイドロフォーミングからなる設備を改造する場合は同社へ依頼に来る。核心の超高圧水生成技術は外注せず、数億円投じた社内施設でのみ造り製法の門外不出を守っている。
FRP容器膨張測定試験装置

FRP容器膨張測定試験装置

ベトナム進出で現地の優れた人材を確保し 部品調達も開始

 2012年には、ベトナム・ホーチミン市に設計子会社を開設した。それまで基本設計以外に外注していた箇所の設計も同子会社で内製し技術を守るほか、優れた設計要員を確保する狙いがある。ホーチミン市工科大学出身者を含め、現地の優秀な人材を約10人採用している。技能が向上すれば、日本の本社で働ける異動も始めた。ベトナムは設計拠点としてだけでなく、部品調達先としても活用する。山本社長は「日本では少量の部品を製造してくれる小さな町工場が減っている。ベトナムは日系企業が進出し協力工場が増えたので、部品も造れるようになった」と、進出効果を説明する。完成品の発注は規模や能力から難しいが、組み立ての一部も発注を始めた。ベトナムに設計拠点を構えることでアジアでの加工機ビジネスの生情報が入り、海外受注案件の難易度や利益率が適正かどうかも、独自に把握できるようになった。

需要回復の追い風で100周年を目前に迎える

 特注品ビジネスのため受注に波はあるが、引き合いは増えている。国内では例えば造船所で人手不足と合理化に伴う設備新設が実施や計画され、造船設備のパイプ需要が伸びてきた。米国が鉄鋼や造船の製造業復活を図っている政策も、かつて同国に水圧試験機を輸出していた山本水圧工業所には追い風になる。山本社長は「為替の円安も有利に働き、競争力が強まる」と意欲を示す。水圧技術を守ってきた長年の実績と信頼で、2030年の創業100周年を明るく迎えようとしている。
YSK VIETNAM10周年記念

YSK VIETNAM10周年記念

代表取締役社長 山本 知弘氏

代表取締役社長 山本 知弘氏

〈創造する技術で社会に貢献する(社是)〉
1.自ら活動して他を動かしむるは水
2.常に己の進路を求めて止まざるは水
3.障害にあい激しくその勢力を百倍し得るは水
4.自ら清うして他の汚濁を洗い、清濁併せるは水
5.洋々として大海を満たし、発しては雲となり雨と変じ霰と化し、凍っては玲瓏たる氷雪と化
  けす、しかしその性を失わざるは水

会社DATA

創業:1930(昭和5)年4月
設立:1943(昭和18)年3月
所在地:大阪府豊中市庄本町2丁目8番8号
資本金:9,979万円
従業員数:60名(2025年9月末現在)
事業内容:油・水圧応用機械装置及び各種油・水圧機器製造販
URL:https://www.hyprex.co.jp

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