・環境適応型企業として市場や時代の変化を敏感に捉えながら新たな成長機会を模索
・世の中の問題解決のために、継続的な投資で新技術の開発に挑戦
日下部機械株式会社が2021年に創業100周年を迎えることができたのは、時代の変化と新たなビジネス機会を的確に捉え、全社一丸となって進化を続けてきたからにほかならない。 1921年に機械工具類販売から出発して以来、高度成長期には大手重工業メーカーを顧客とした機械商社へと拡大。さらには重工業設備メーカーを買収することで、エンジニアリング機能を併せ持つ「ハイブリッド企業」へと変貌した。そして1972年、当時巨大企業しか持っていなかったCE(Combustion Engineering)社の生産設備ライセンス契約を中小企業の規模で締結したことは業界内でも大いに驚かれ、このライセンシーをテコに中国・インド・韓国のアジア各国だけでなく南米のボイラーメーカーに生産設備機械を供給した。近年ではさらに「挑戦は必然 進歩に向かって励め」を新たなスローガンに掲げ、機械とITとを融合させた「XSAP(エグザップ)」の開発に成功するなど、時代の期待に応える変貌と成長を続けている。
最新テクノロジーで重工業メーカーを支え続ける
同社は、日本の高度成長期を支えた重工業の生産現場において、常に設備の合理化・省人化を追求し、提案から開発・製造まで一貫して取り組んできた。1950年代の早い段階で、当時は海外製しかなく高価だった自動溶接機械の国産化に挑戦。試行錯誤を重ねながらも開発・納入に成功し、国産技術の可能性を切り拓いた。1980年代には、ボイラーの心臓部にある複雑な枝状管を自動溶接する「ヘッダー用自動溶接ロボットシステム」を完成。高度な自動化技術を実現し、重工業の効率化に大きく貢献した。
同社の技術力を象徴するのが、現物認識多機能加工システム「XSAP」である。センシング・ロボット制御・溶接技術を融合した自社開発のロボットインテグレートシステムで、造船や橋梁などの分野で深刻化する人手不足や熟練技能者の減少に対応する。従来は少量多品種や位置ズレ、形状のばらつきへの対応が難しく、自動化は困難とされてきた。しかし「XSAP」は、カメラとレーザーによる現物認識を活用し、CADやティーチングを不要にすることで段取り時間を短縮。多品種ワークを一括処理でき、短納期化と稼働率向上を可能にした。さらに公差や歪みにも自動補正が働き、加工不良を抑えて品質を安定化させる。こうした技術は持続的な生産体制の確立に寄与し、産業基盤の安定性を高めることで社会の安定供給にも貢献している。簑原寛秀社長によれば、動画を見て「この開発に関わりたい」と入社を決めた若手社員もおり、次世代人材の育成にもつながっているという。技術革新と人材育成の両面から、同社は重工業の未来を支え続けている。
FA技術を労働集約型農業の省力化に展開
さらに同社は「大手企業がやれないニッチな分野で一番になる」との簑原社長の思いから、日本の農業分野における高齢化、人手不足、食の需要供給のバランスなど課題解消への貢献事業にも挑戦している。科学技術振興機構(JST)と大阪公立大学、株式会社三国アグリテクノと産官学連携にてプロジェクトを立ち上げ、果菜類の苗接ぎ木作業の自動化に取り組んだ。苗の接ぎ木は病害虫回避や収量・品質向上のために不可欠だが、細い苗を扱う作業は熟練を要し、高齢化による離農で人手確保が難しい。そこで同社は、台木と穂木の供給、苗の切断、接合、クリップ固定、完成苗の取り出しまでをロボットが自動で行う全自動接ぎ木装置を開発。さらにサイズのばらつきに対応するため、接合と固定のみに機能を限定した半自動接ぎ木装置も開発し、現場の多様なニーズに応えている。
重工業分野で培った生産設備技術を農業の自動化へ展開することで、人手不足が深刻な業界や食糧問題の解決を目指す。100年の歴史を重ねた日下部機械株式会社の挑戦は、産業と社会の未来を支える新たなステージへと続いている。
接ぎ木全自動機 (大阪公立大学様ご協力産官学プロジェクト)
会社DATA
創業:1921(大正10)年
設立:1966(昭和41)年6月
所在地:大阪府豊中市寺内1丁目2番2号
資本金:9,500万円
従業員数:73名(2025年3月31日現在)
事業内容:
①商事部門:プラント補機、製造設備、部品及び消耗品などの国内製品および中国を中心とした輸入製品の国内向け販売
②エンジニアリング部門:発電所用ボイラー製造の設備機械、造船、建設機械、フォークリフト、その他重工業向け製造設備の開発・設計・製造・国内販売および輸出
③農業支援事業
URL:https://kusakabe-kikai.jp/
日下部機械は世界と日本の未来をつなぐ技術者集団であり続けます
<社是> 気力 規律 希望