icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

各種電線を一貫生産、大手・中小電機メーカーにも納入。 ―創業70年余、3代目社長がDXやAIを活用したNEWワークプロジェクトを推進【杉田電機株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2026.03.27

SHARE WITH

  • facebook
  • X
  • LINE

・電機のプロとして特殊な電線の要望に応える準備(人・設備)が整っている
・すべてのユーザーに安心・価値の提供を行う
 電線・ケーブル(光ケーブルを除く)の国内生産額は年間1兆7,000億円(2022年度日本電線工業会統計)にも及び、社会生活や文化の向上、産業の発展に大きく貢献していて、世の中を繋ぐ「血管」とも呼ばれている。杉田電線はその中で、通信ケーブル、自動車用電線、耐熱電線、ヒーター線など、汎用電線から特殊電線までを社内で一貫生産し、OEM(相手先商標)で多くの電線メーカーに納入している。70年にわたり企業経営が継続できたのも、一貫生産の強みと、長年にわたって築いてきた顧客との信頼関係があってのものだ。現在は、杉田晃一副社長(2026年3月の株主総会より3代目社長就任)を先頭に、ICTを軸としたDX化を推進している。業務全体の見直しを進め、営業・販売管理・生産管理の基幹システムの更新に2025年から取り組んでいる。少子高齢化の影響に備え、社内体制(人・設備・仕組み)の強化を図ることが当面のテーマで、目指すは「みんなで笑顔になる経営」。顧客満足だけでなく、従業員満足もこれまで以上に高めようとしている。

品質は良くて当然の世界

 杉田電線は1953年に東京都荒川区で創業した。1964年に現在のさいたま市岩槻区へ工場を移転している。経営は、創業者・杉田政男氏から幸男氏(長男)、そしてその子息の晃一氏へと引き継がれ、2026年には創業73年となる。晃一氏は「今の杉田電線は、創業者から受け継がれてきた『おかげさま』という感謝の気持ちと、『当たり前なことを当たり前と思うな』という考え方が浸透している」と企業文化を語る。創業者の時代は高度成長の波に乗り、量を追求してきた。2代目は電線被覆部に電子線を照射し、耐熱性を高める電子照射機を導入するなど、より特殊な電線を製造できる体制を整え、質の向上を図った。
 3代目となる晃一氏は、大手電線会社の関連会社を経て、技術や経験を蓄積、2011年10月に杉田電線へ入社した。「当社はお客様から仕様書や設計書をいただけたら社内で完成品まで仕上げられる一貫生産体制を構築しています。取引先の規模を問わず、小回りを利かせて確かな価値を提供するようにしています」と話す。特に重視しているのが、トラブル発生時にも安定供給を維持できる体制づくりだ。「不良やトラブルが起きた場合は、原因を根本まで掘り下げ再発を防ぐようにしています」と語る。
新入社員が独り立ちのため熱心に取り組む

新入社員が独り立ちのため熱心に取り組む

基礎システムの更新で生産性向上へ

 基幹システムを見直す狙いは、標準化による生産力の向上と安定化にある。晃一氏は「人員数は変えず、従来以上の生産能力を実現したい」と話す。そのために必要なのが「システム連携とデータの一元化」・「業務プロセスの見直しと標準化」・「現場のデジタル化と負荷軽減」だ。さらに、電線製造における無人稼働時間の拡大や業務の効率化を進めることで生産性向上と従業員の負担軽減を両立させる考えだ。晃一氏は「残業をなくすだけでなく、近年の酷暑傾向を鑑み、年間休日を現行の120日に上乗せし、夏季の休日拡充も検討しています」と方針を示す。

本社工場の建て替えについて

 晃一氏は幸男前社長から引き継いだ重要な課題を抱えている。本社工場の老朽化だ。現在の本社工場は1961年に建設され、築60年以上が経過している。「熱中症対策や太陽光発電による電力使用量削減を考えると、できるだけ早く建て替えたい」と話す。
 ただし、地下鉄7号線(埼玉高速鉄道線)を浦和美園駅から岩槻駅(東武アーバンパークライン)まで延伸する計画があり、そのルート上に同社敷地が含まれる可能性がある。現在、さいたま市と協議を続けており「延伸計画が長期化する場合は、延伸ルートに考慮を求めた上で、建て替えに着手することも視野に入れています」と語る。
恒例の社内クリスマス会はゲームで盛り上がる

恒例の社内クリスマス会はゲームで盛り上がる

会社の価値を高めるのは“おかげさま”の心

 とりわけ晃一氏が特に力を入れているのが、従業員満足度の向上だ。「お客様に満足以上の価値を提供することを会社全員が考える。そのためには、会社は従業員に対し、笑顔になれる価値を提供し続けないといけない」と話す。具体的な取り組みとして、従業員同士の交流を目的に、1人当たり5000円までの食事補助を実施。夏季には麦茶を常備し、飲み放題にして従業員の健康に配慮している。
 毎年続いているクリスマスの前週金曜日に全従業員対象のクリスマス会を開催していたが、コロナ禍で「3密」をきっかけにクリスマスケーキ(ホール)を配布し、各家庭で楽しめる形にした。2024年からはクリスマス会を再開し、参加者には手土産としてホールケーキを配布している。
 晃一氏は「自分の人生を笑って過ごすために、杉田電線をうまく活用してほしい。そのために必要なことを少しずつ形にしていく」と語る。幸男氏から継続している年始の始業式で前年に活躍した従業員を表彰する制度も継続しており社風として定着している。こうした環境の中で、「教える先輩社員のレベルが高く、製造業の未経験者でも続ければ1年ほどで戦力になる人が多い」(晃一氏)と話す。
 売上高は18億6,900万円(25年12月期)。晃一氏は売上よりも理念や目的を重視し、顧客・従業員満足度を高めながら、創業100年企業を目指す。
〈 1 / 2 〉
22 件

RELATED