「目」が考えるフィジカルAIが穴に剣を刺す精密作業
リケイ 2025年から「フィジカルAI」を研究しているそうですね。
亀山 かつての自動制御技術では「認識」と「制御」を分けて考えていましたが、いま担当している研究では「目」で捉えた情報から「どう判断し、どう動くか」まで考えます。穴の位置を座標で示すのではなく、学習のモデルを設計し、カメラでとらえた画像とロボットの動作の関係をAIに学ばせていきます。カメラが穴の画像をとらえ、その穴に部品を入れるとか、穴を避けて動かすとか、汎用的な動作をAIが覚えて再現できるようになる。フィジカルAIの精密作業の汎用プロトタイプができていきます。人間はテキストで「穴に一つおきに部品を差し込む」といった最終的なタスクだけを指示します。
リケイ 先ほどプロトタイプを拝見しました。樽の穴に剣を刺し海賊の首が飛んだら負けという有名なパーティーゲームにロボットが挑戦していました(笑)。自動車向けに限らない技術領域でもあり、とても自由な研究テーマの設定に見えますが、上司の竹原さんはどのように評価していますか。
竹原 前身の自動車機器開発センターの時代と違い、現在は自動車に限らず工場自動化(FA)から社会インフラ、航空宇宙まで三菱電機の幅広い事業に貢献する研究をしています。研究テーマはトップダウンの案件もあれば、コンセプトからボトムアップで出てくるものもあります。アジャイル的な取り組みで試行錯誤を繰り返して一番いいものを取り入れる流れがあり、特にフィジカルAIのように技術進化の早い分野では亀山さんのように、仮説を立て、実際に試し、その結果を次の研究開発に反映するサイクルを素早く回すことが重要だと考えています。
リケイ プロトタイプはいつ作り初めて、いまどんな状況ですか。
亀山 2026年5月から組み立てを始めました。始めて2週間で剣がスポッと入った時は嬉しかったですね。それがたまたま入ったのか、AIが考えて入ったのか、また考えて進化を続けるわけです。ロボットにとってミリ単位の精度は難しく、やればやるほど人間はセンサーとしてもアクチュエーターとしてもすごい性能であることを実感します。新しい技術が次々生まれ、社会からも注目されているフィジカルAIの研究開発に携わることにやりがいを感じています。
竹原 剣を100%に近い確率で差せるようになれば、例えば工場でロボットが穴を認識してそのままネジ締めできるようになります。そこに至るための要素技術を開発しています。
リケイ 三菱電機では、入社5年でこんな重要なプロジェクトを丸ごと任されるのですか?
竹原 どうすれば課題が解決できるか技術的なコンセプトを考え、動作環境を構築し、AIによる認知・制御を試行錯誤する。若手の方にも失敗を恐れずチャレンジしてもらいたいと考えています。
グループマネージャーの竹原さんの亀山さんへの期待値は高い
AI活用し人間は解くべき問題と方向性を決める
リケイ 三菱電機を目指す後輩のみなさんにアドバイスはありますか。
亀山 AIの進化でいろいろなことを短時間で効率的にこなせるようになりました。研究者として学ぶことはたくさんあり、私は研究の関連情報は毎朝AIに集めさせています。プログラムを書くのはAIの得意とするところだし、シミュレーション作業ではAIが結果を見ながら、次に何を試すかを考えるなど「研究」に近いことまでやってくれます。これからの研究者は、人間として課題を見つけるところ、解くべき問題と方向性を決めるところを大事にしないといけないと思います。
竹原 求めるのはチャレンジ精神ですね。2026年4月に三菱電機グループは新たな理念「Our Philosophy」(※下記動画参照)を制定しました。そのなかで行動指針として「挑戦」「共創」「誠実」を挙げていて、これはまさに研究開発の現場で求められるものだと感じています。若い人には、どれだけ挑戦できるか、そして研究所内だけでなく社内の他の事業部や社外機関とどれだけ連携できるかが求められています。研究所としてそれができる環境を作っていきたいと思っています。
先進応用開発センターは、「三菱電機が取り組む様々な社会課題に対して、社内外の要素技術の活用により、より早く、より確実に解決策を社会に提供する」ことをミッションとしている。
前身である自動車機器開発センターで開発されたさまざまな技術に加え、社外のパートナーとも連携して幅広い社会課題解決に向けた開発・ソリューションの提供を推進。変化していく社会に対応し、これからも全員が「より良い未来の創造」にチャレンジしていくだろう。
企業データ
先進応用開発センター
〒670-8677 兵庫県姫路市千代田町840番地
〒661-8661 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号
https://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/randd/laboratory/advanced_ad/
三菱電機株式会社
本社:〒100-8310 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビル
資本金:175,820百万円
従業員数:連結150,386人
売上高:連結5,894,747百万円
事業概要:ビル、産業・FA、公共、エネルギー、交通、自動車機器、宇宙、通信、半導体・電子デバイス、空調・冷熱、ホームエレクトロニクス、ITソリューション等の電気機器及びシステム技術の研究・開発・製造・販売
三菱電機がより深くわかるWebサイト/採用情報
事業成長と社会・環境課題の解決に向け、リスクを恐れず新たな発想で価値を創出する「イノベーティブカンパニー」への変革を加速するために、従業員ひとりひとりが次の一歩を踏み出すときのよりどころとなるものです。
この「Our Philosophy」のもと、飽くなき探求心と驚きの技術で、未来の価値を創造してまいります。