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環境関連製品で時代のニーズに応える【英弘精機株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2023.05.25

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ハード中心からソリューションへ移行中

●ここ数年で事業拡大、売り上げも急増
●事業はデータサイエンスとぴったり合致
 英弘精機株式会社は、気象観測、太陽光発電、風力発電などに関わる各種計測機器類の製造販売で実績を積み上げている。特にここ数年は、温暖化・気候変動対応といった時代のニーズと、取扱製品群の特性がぴったり合致し需要が急拡大。それに伴い売上高も社員数も急増しているところだ。長谷川壽一社長は、進取の気風をベースに新たなチャレンジを続ける「可能性志向の経営」を標榜・実践して、さらなる高みを目指している。
 同社の主力事業は日射・放射計測、気象要素計測、太陽電池評価、風况調査をはじめとする環境関連のあれこれだ。日射計、日照計、分光放射計、リモートセンシング機器、ガスモニターなどを幅広く取り扱っている。
 第2の柱となるのが物性分析関連である。粘度・粘弾性測定、表面・界面特性評価、バイオ・医薬・化粧品材料評価、粉体物性評価-等々に用いる分析機器類を長年、研究開発機関などに提供してきている。
 100年近く前、ドイツ光学機器の輸入販売を手がけたのが英弘精機の原点となる。その後、扱い製品を増やし、また自社開発にも乗り出して、現在は環境関連、物性分析関連の両部門とも、多種多様な輸入品と自社製品を品揃えしている。長谷川社長は「創業から80年間は商社で、メーカー機能を兼ね備えたのはこの15年間ぐらい」と振り返る。

商社→メーカー兼備から第3のフェーズへ

 同社では今、商社→メーカー兼備に続く第3フェーズへの移行に取り組んでいる。それは「ハード中心を見直して、データの加工やソリューションの提供にシフトしていく」(長谷川社長)というものだ。世の中全般の「ハードからソフト・ソリューションへ」といった潮流を踏まえての策。
 IoT(モノのインターネット)、クラウド、AI(人工知能)を活用し、ユーザーの問題解決を図っていく。そのため、データサイエンティストも採用した。環境関連や物性の計測・評価をサポートする同社事業は、正確なデータを得て、そのデータを適切に活用することが眼目となる。まさにデータサイエンスそのものであって、第3フェーズでの大いなる飛躍が見込めよう。
 「脱ハード」を志向する一方で、新製品開発などハードの進化発展にも力を入れている。その成果の代表例として挙げられるのが「EKO水蒸気・気温ライダー」だ。同機は、雨雲となる前の「雨の素」=水蒸気の状態を計測し、大雨やゲリラ豪雨の予測に生かすもの。京都大学と共同開発した。レーザー光を上空に照射し「ラマン散乱」という散乱光を観測することで水蒸気量を計測する仕組み。水蒸気のほか気温も計測できるスグレモノで、気象をはじめ多方面での活用が期待されている。
最新の日射計(MS-80SH)が「PV Magazine 2022年AWARD」を受賞

いい製品を輸入し、 作って海外に売る

 同社の売上高は、ここへきて50億円を超え倍増している。社員数も、この3年間で80人が120人になった。風力発電のための風况調査向け製品の伸びなどが好業績の要因だ。世界中で喫緊の課題として取り沙汰されている
地球温暖化・気候変動問題が、同社事業のニーズを高め、さらには、業績向上を後押ししている。
 英弘精機では「海外でのプレゼンスを高めることが目標の一つ」(長谷川社長)として、グローバル化にも積極的に取り組んでいる。オランダ、米国、インド、香港に拠点を構え、欧州を中心に多くの企業とパートナー契約を結んでいる。
 海外では自社製品の販売がメーン業務となる。国内では主として海外品を販売しており、「海外からいい製品を輸入し、いい製品を作って海外に売る」(同)というビジネスモデルを確立している。現状は国内ビジネスが全体の8割を占め、海外は2割程度。今後、海外拠点の拡充や営業網の強化を推し進め、海外事業を拡大・発展させていく。
 リクルートに関しては新卒および中途の両方の採用に力を入れ、増大中の業務に対応している。数年前に大手企業の人事部長をスカウトし、社員のキャリア設計を大きく変えた。語学研修や技術教育をメニュー化し、人材育成に励んでいる。
(左)お客様課題へのソリューション提供としてセミナーを開催
(右)EKO水蒸気・気温ライダー

≪わが社を語る≫

「進取の気風」で可能性を追求する

「進取の気風」で可能性を追求する

代表取締役社長 長谷川壽一氏

当社がかかわる気象やエネルギーの分野は、まだまだわからないことだらけで、新しい技術や製品が強く求められています。そうしたニーズに応えるには、イノベーティブ、クリエーティブで、人真似ではなく独自なものを追求する「進取の気風」が欠かせません。そこで、進取の気風に基づき、新たな挑戦を繰り広げる“可能性志向の経営”を心掛けています。
 可能性を高めるには、ダイバシティも重要です。当社では女性の活用はもちろん、外国人の力も取り込んで、多様な人材、多様な発想を生かした事業を展開しているところです。その一つに、ベルギー企業と共同で取り組んでいる研究開発プロジェクトが挙げられます。研究開発の面では、大学の知見や人材を役立てる産学連携にも力を入れています。

■会社データ

所在地:東京都渋谷区幡ヶ谷1-21-8
創業:1927(昭和2)年
代表者:長谷川 壽一
社員数:120人(2023年4月1日現在)
事業内容:理化学機器、計測機器、光学機器の製造および輸出入販売
https://eko.co.jp/

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