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振動・パワー制御技術で世界のトップランナー【カヤバ株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2023.07.03

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 自動車に乗っていて快適な乗り カヤバの技術を結集したキャンピングカー 電子制御など油圧以外の技術も重要に女性技術員も多く活躍中心地を楽しめたり、車内に置いた飲み物が倒れることがないのは、揺れを抑制する機構、ショックアブソーバがあるおかげだ。カヤバは自動車用ショックアブソーバ市場で国内シェア40%、世界シェア13%を占める世界的企業だ。また、建設機械の駆動に欠かせない油圧シリンダにおいても世界シェア25%を握っている。基礎となるのは、油圧技術。油圧を制御することで、なめらかに移動したり、大きな力を生み出したりすることができる。油圧技術のパイオニアとしてカヤバは自動車や各種産業機械業界から高い信頼を得ている。ただ、時代はカーボン・ニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)や電動化へと大きな変革期を迎えている。カヤバはその変化を先取りし、油圧と電動のハイブリッド技術や油圧機器の電子制御といった新分野の開発にも磨きをかけている。
 電子制御・電動化技術を活用したアクティブサスペンションシステムを開発し、EV(電気自動車)時代に求められる省エネで安全性・快適性に優れた機構をシステムとして自動車メーカーなどに提案している。油圧機器を電子制御化することで遠隔操作、自動化、無人化に対応する技術にも取り組んでいる。「油圧のカヤバ」というイメージが強い同社だが、工場や研究所には電気・電子出身の技術者が100人以上在籍しており、油圧と電子制御の融合を急速に進めている。

自動車・建設機械の電動化、自動運転時代に貢献する技術に磨き

●自動車用ショックアブソーバで国内シェア40%
●豊富な研修やメンタルチェックで社員のモチベーションをアップ

社員によるラリーチームやキャンピングカービジネス に挑戦

 変革を象徴する取り組みと言えるのが、「カヤバラリーチーム」の存在だ。社員が監督、エンジニアやメカニックを務めるワークスチームとして、2023年 全日本ラリー選手権に参戦した。ドライバーも社内で育成中という熱の入れようだ。同社がラリーに参戦するのは、車好き社員の余暇活動というわけではない。ラリーカーは急加速、急減速でコーナリングをするなど、過酷な環境で性能を競い合う。ラリー活動を通じて車両の様々なデータを集積し、新商品の開発に活かすことが最大の狙いだ。また、実際にラリーに参加すると、観客からも「カヤバさん」と声をかけられることが多い。自動車の黒子的な存在の同社だが、一般消費者にブランドイメージをアピールする機会になっている。
 もう一つ、〝カヤバらしからぬ〟取り組みと言えるのが、キャンピングカーの開発だ。同社はトラックメーカーから車台を購入して、その上にコンクリートミキサーを架装して販売する特装車両事業を手がけているが、キャンピングカーのような一般消費者向け商品は初めて。キャンピングカーのデザインや機能はすべて社員からの提案で実現している。同社が得意とする油圧ポンプを搭載した電動油圧ユニットで、キャンピングカーの天井や横幅が拡大し、居室空間を広くするというもの。実際に展示会で披露したところ、タブレット操作で外観がなめらかに拡大していく様子に、驚いて見入る人たちが絶えない人気ぶりだった。走行中は振動を制御するサスペンション機能で快適な乗り心地を提供するなど、同社の得意とする技術がしっかりと盛り込まれている。
(左)従業員で挑戦するカヤバラリーチーム
(右)カヤバの技術を結集したキャンピングカー

若手社員が活躍できる環境づくり

 2023年に商号を「KYB」から「カヤバ」に変更する(2022年に通称社名「カヤバ」を採用済)。同社創業者である萱場資郎が残した「あらゆるものは発達途中の過去のものであり、世の中は常に新しいものを求める」という言葉にある原点に立ち返り、社会に役立つ存在として工夫・改善を重ねることを全社で誓った。
 現在「2050年のカヤバのありたい姿を描く」という目的で、若手社員と大学で連携して未来予想をするプロジェクトを進めている。経営者だけでなく、若い世代にも会社の将来について考えてもらうのが狙いだ。仕事に必要な資格取得や語学研修など、社員教育のメニューを多数用意し、試験に合格したら費用は会社負担にするという仕組みも導入し、社員の自己啓発を後押ししている。
 また、毎年全社員を対象にメンタルチェックを実施したり、自分がいる部署から別の部署へ移る要望を聞く機会を設けるなど、社員の仕事に対するモチベーションが維持できる仕組みを取り入れている。フレックス出勤に加えて、テレワークも制度化した。本社はフリーアドレスを採用しており、自由な働き方が社員からも支持されている。
(左)電子制御など油圧以外の技術も重要に
(右)女性技術員も多く活躍中

《わが社を語る》

新しいことに挑戦する風土

新しいことに挑戦する風土

代表取締役社長執行役員兼COO 川瀬 正裕氏

 当社は2025年に創立90周年を迎える歴史のある会社ですが、常に新しいことに挑戦する風土を持っています。クラウドを活用して工場設備の予知保全システムを構築した際には、取引先企業からも高い評価をしていただきました。長い歴史で培われた信頼進取の気風が当社の持ち味です。
 4月に「デジタル変革推進本部」を新設し、全社的にDXで業務改革に取り組む体制としました。この分野は若手にどんどん新しい仕事のやり方を提案してもらいたいと期待しています。
 また、当社は欧州12カ国、アジア7カ国、米州3カ国など、海外に多数の拠点があり、海外で働くチャンスの多い環境です。事前の研修制度も整っているので、安心して海外で若い力を発揮できます。

■会社データ

所在地:東京都港区浜松町二丁目4番1号
設立:1935(昭和10)年3月10日
代表者:大野 雅生
資本金:276億4,760万円(東証プライム上場)
従業者数:14,472名(連結ベース)
事業内容:油圧技術を核とした振動・パワー制御機器の製造・販売
https://www.kyb.co.jp/

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