・開発、設計から製品づくり、営業、メンテナンスまで徹底した自前主義
・食品加工機械というニッチマーケットでニーズを捉え、高付加価値製品を提供
吉泉産業株式会社はネギの輪切りカットや千切りキャベツなどに欠かせないフードスライサーをメインに製造販売を手掛けるフードスライサーのリーディングカンパニー。カットする食品は野菜だけにとどまらず、魚や肉のスライサーまで展開し、さらに周辺機器として洗浄機や皮むき機、芯取り機、脱水機など食品加工に必要なすべての工程の機械化に取り組んでいる。
焼入れの技術を活用して、 刃物づくりからスライサーを開発
同社は1955年に創業、当初は歯車の焼入れ、焼き戻しなどの熱処理業を営んでいた。そうした中、食品機械メーカーから「食肉用スライサーの刃物を作ってほしい」との依頼があり、その後「食肉用スライサーの製造、販売をしてほしい」と依頼されたことから、刃物作りからスライサーの製造、販売までを手がけるようになった。そして、機械を製造するのであれば食品機械メーカーの下請けでなく自社がメーカーになるのがよいとの考えから、卓上でネギを切る機械を開発した。この卓上でネギを切る機械は蕎麦屋やうどん屋から多くの受注が入り、ヒット商品となった。
1965年には丸刃型万能スライサーを開発し、同社は、業務用フードカッター専門のメーカーへと転換を遂げた。丸刃型万能スライサーは当時の大ヒット商品となり、その後も顧客からのニーズに応えてさまざまな業務用フードスライサーを開発した。1972年に開発した「薙刃型万能スライサー」も大ヒット商品となり、フードスライサーのエキスパートとしての地位を確立した。
徹底した「自前主義」とプライベートショーで 成長を継続
同社の最大の特徴は、「自前主義」にある。開発、設計から製品づくり、営業、メンテナンスまですべてを一気通貫して社内で行ってきた。コストを抑えることに加えて、顧客のニーズを直接聞き取り対応できることなど多くの利点があるが、それ以上に大きな効果は自社の技術力が格段に高まることであった。
また、同社では毎年春と秋に本社でプライベートショーを開催している。コンビニエンスストアや大手スーパー、大手食品メーカー、大手外食チェーンなどの顧客に対し新技術・新製品を発表する場であると同時に、新たなニーズを吸い上げる場でもある。その要望に応えて製品化するために営業担当と設計担当、製造担当が情報共有を行い、戦略を立て技術開発を進め、プライベートショーに挑むというサイクルが確立されている。
コンビニの普及や中食需要の高まりで 製品開発に拍車
1990年代に入りコンビニエンスストアの普及や中食需要の高まりに伴って食品加工機械のニーズも多角化していく。そこで、同社はコンピューターを使い高性能カメラで魚の断面積を瞬時に計算して同じ重量に揃えてスライスできる機種など、より精密な製品の開発を進めてきた。そしてスライサーにとどまらず、野菜を自動で洗浄し、すすぎ、脱水までを行う機械など製品のラインアップを拡充した。さらに、食品加工の現場で必要とされる製品を顧客の要望に合わせて、単体販売から省人化のためのシステムラインでの提案まで細やかなニーズに対応している。
また、「食品は手作業や肉眼で検品することが多いので、AIの画像認識が活用できれば新しいニーズを開拓できる」と佐々木社長は考え、カメラの画像からAIが白菜の芯の位置を検知して芯を確実に抜き取る機種などAIを活用した機種の開発に注力している。もちろんAIの開発も社内で行っており、ここでも自前主義が徹底されている。
設計平均年齢は30代前半と若く、メカ、ソフト、AIすべての開発を自社で行っており、常に新しい技術にチャレンジをし、食品加工の業界に変化を起こそうという若い技術者が多いのも特徴だ。
手厚い福利厚生、高いモチベーションで 世界の食文化に貢献
本社のある津田サイエンスヒルズ内にシェフをはじめ専属スタッフが運営する社員食堂をオープンし、一般にも開放している。また、社員のために企業内保育園として「吉泉さくら保育園」を運営している。同社は女性社員や外国籍の社員を積極的に採用しており、国籍や性別、年齢などにかかわらず多様な価値観や考え方を持つ社員がイキイキと働ける環境が整っている。こうした取り組みが評価されて、2022年に第12回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の審査員特別賞を受賞している。
また、社員のお互いの顔が見える規模で、顧客と近い距離で仕事ができ、佐々木社長をはじめとした経営陣や上司ともコミュニケーションを密にとれる社風となっている。さらに、自分の裁量で仕事を進める機会も多く、責任を感じながら仕事をすることができ、社員のモチベーションは高く保たれている。
「吉」が「泉」のように湧くようにとの思いから付けられた吉泉産業の社名の通り、世界に評価されている日本の食文化を支える機械を作り、世界の食文化に貢献して世界中に「吉」を「泉」のように湧かせ続けている。
会社DATA
創業:1955(昭和30)年1月
所在地:大阪府枚方市津田山手2丁目1番地1号
資本金:1,000万円
従業員数:130名(2024年3月末現在)
事業内容:食品加工機械並びに洗浄機の開発設計・製造および販売
URL:https://yoshiizumi.com
我々は優れた食品機械で顧客の繁栄を築き、食文化の向上と社会の発展に貢献して、
自らの幸せを汗と技術により勝ち取ろう。