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ねじをデジタルの世界に引き上げた世界的トップブランド【株式会社ハイオス】

キラリ、企業ハッケン!

2023.05.25

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池井戸潤の小説「七つの会議」でカギとなった強度不足のねじ。コスト低減を求めるあまり、基準に満たない安価なねじを調達した企業犯罪を巡る物語だ。「ねじなんて、安ければいい」。そんな収益優先の企業姿勢に痛烈なしっぺ返しを喰らわした池井戸作品だが、ねじを軽視する現実世界に挑み続けたリアル企業がある。創業50年、ねじ締結分野で世界的トップブランドを築き上げた株式会社ハイオスだ。

ースマートファクトリー実現を支える新機軸、一段の飛躍へ準備整う

●ねじ一筋に新製品を次々に投入してきた技術力
●ロボット等の自動生産に向けたデジタル商品戦略
本社・コーポレートカラーのオレンジを基調としたショールームとオフィス

ねじに関する知的財産権 1500以上

モノを締結する優れた機能を持ち、工業製品だけでなく、身の回りのモノにもねじは多用され、今やわれわれの生活に欠くことのできない存在となっている。ねじは産業を支える〝巨大産業〟である。しかしハイオスの戸津勝行社長は、「玉子と同じで半世紀たっても値段は変わらず、安全や品質に直結するモノなのに、ねじを専門に研究している人は自分以外にまずいない」と、打ち明ける。何しろ戸津社長は、「この50年、朝から晩までネジのことばかり考えてきた」という筋金入りの研究者で、特許や実用新案など保有する知的財産権は1500件を超え、年間の権利維持費は1000万円超。ねじの世界に数々の新風を巻き起こしてきた。まずは会社設立のきっかけとなった「トツねじ」。当時主流であったマイナスねじを改良し、頭のマイナス部中心に凹部を設け、ドライバーの横滑りを防ぐ画期的なねじを考案した。さらに、これも当時主流の空圧式ドライバーに代わる世界初の電動式ドライバー。コンプレッサー不要で精密なトルク制御が可能な締結工具として注目を浴び、特にコンプレッサーによる油の飛散を嫌う精密機器メーカーや、締め過ぎると割れてしまう樹脂を扱うセットメーカー等の採用が相次ぎ、トツねじと並ぶハイオス成長の原動力となった。「ねじは元来不安定なもの。締めっぱなしでいいならリベットの方が良い。締めると同時に緩むのもねじ。締め過ぎれば材料が壊れるし、緩まない程度に『ちゃんと締めろ』と指示しても、作業者の経験知に委ねるしかない」と、戸津社長は、長くアナログが支配してきたねじ締め作業の現実を解説する。これに対し、ハイオスは、トツねじ、電動ドライバー、トルク測定器という一連のシステムで、ねじ締めにデジタルの世界を提示してみせたのだ。最近は、顧客の安全意識の高まりから、安ければ良いという企業の調達姿勢は薄れつつあり、最新の電動ドライバー「熟練工」を用いてリアルタイムで1本1本の締結データをサーバに送り、ねじ締めの履歴を残すメーカーも増えている。デジタル化を通じて、ハイオスは、ねじに価格とは異なる別次元の価値を吹き込んだと言えるだろう。

電動ドライバー

十字ねじの限界見据えて星 型形状の新ねじを開発

IoTやロボットを活用したスマートファクトリーが進むなか、「50年の集大成の時を迎えた」という戸津社長。自動化ラインの普及をにらみ、ねじ締結デジタル化の仕上げとして、新たに提案しているのがインタトルク。頭部が星形形状をしたねじで、日本ではヘクサロビュラと呼ばれており、インタトルクはこのねじの改良品。十字ねじの基本形状が誕生して85年、今なお広く使われている十字ねじは、ねじを回すときに実は押す動作(推力)を伴うが、推力を掛けることで様々な弊害を引き起こし、正確な締結トルクの制御を阻害するという。さらに、ライン停止の懸念も拭えない。インタトルクは、ビット先端部に、円錐型の傾斜ガイドを設け、自動的にビットをねじ中心部に誘導する仕組みで、真横にしてもねじは落下せず、推力不要で回転力だけで締結できる。ビットの磨耗が大幅に改善され数値監理することができる(デジタル化)。「アナログを徹底排除することが、デジタル生産の実現には不可欠」(同)で、すでにロボットメーカーなどから、引き合いが出始めている。スマートファクトリーを成功に導くハイオスの新たな挑戦は、始まったばかりだ。

HIOS PAT. ねじ

≪わが社を語る≫

10年、20年、30年先の技術ベースがある

10年、20年、30年先の技術ベースがある

代表取締役 戸津 勝行氏

ねじの世界は非常に奥深いものがあります。50年以上、ねじはどうあるべきかを考え、新たな発想を求めてきましたが、まだまだ終わることはありません。テーマは山ほどあるのです。もはや「高い」、「安い」というねじの時代は終わりました。モノづくりもデジタルの時代を迎え、当社にも大きなチャンスが到来しています。すでに10年、20年、30年先の技術のベースは作ってありますが、これからは若い人の力とともに、新たな技術を世の中に出していくことが必要です。ぜひ自分の夢を作ってください。自由な発想で理想を追い求めてください。小さくても、ねじとドライバーで世界一の当社には、若い人の情熱をしっかり受け止め、夢をかなえる舞台が用意されています。

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