・はかることは不変的なテーマで、それを軸に時代の変化に応じ技術と組織を進化
・伝統を守りつつ革新を恐れず、常に新たなことに取り組む柔軟性
近江度量衡株式会社は創業以来、コア技術の「はかる」を駆使しさまざまな計量システムを製造、社名そのものの事業を展開する。工業用配合プラントなどの産業分野向けと、ライスセンターやカントリーエレベーター、米の計量設備、農産物選別設備などの農業分野向けを二本柱とした企業経営で成長・発展を続け、2025年には創業125年を迎えた。
製品のそこかしこに〝はかり屋〟的発想
創業時は質量を計るからスタート、農業分野には牛や豚の体重計から参入した。畜産業が盛んになるにつれ、個体の計量管理が求められるようになったためだ。その後、農協からの要望で選別機・選果機を開発、対応分野や機種が増えシェアも拡大した。
畜産向けや米の計量機は量産できるが、「選別機・選果機はそう簡単にはいかない」(小谷俊彦社長)事情がある。対象物がミニトマトからスイカまで多種多様で、大小のコンベアが必要になり、計測スピードや手法なども異なる。農林規格の問題もある。基準は重量だが、一個単位での計量では量的処理が難しい。穴や隙間から落として量的対応をするが正確さに欠ける。
近江度量衡の選果機はこれらに対応、傷や色、形だけではなく、光を当て内部品質も調べる機能も備える。カメラで寸法をチェックし、形や色に再度重量のファクターを加えることで従来発見できなかったことがわかるなど様変わりした。〝センシングの塊〟であり「まさに〝はかり屋〟の仕事。はかり屋らしい選別機を送り出せた」と自負する。
組み合わせ計量を行い、どれを入れれば規定量になるかという「ボックスフィリング」にも対応。一般的には出口部分のはかりで計量するが、近江度量衡の選果機にははかりが取り付けられていない。一個ずつ計量しすでに積算できているからで、内容量を調整し収入に寄与しない〝サービス玉〟も解消、農家の所得増につながる経済選果を実現している。サービス玉がないので箱の膨らみもなく全量をロボットパレタイザーによる自動積み付けが可能で2024年問題も同時に解消する。機能面でもAI(人工知能)で選果の人的効率化を図る。人的リソースの厳しさから大きな効果が期待される。
全国では特産の農産物を基にして選別機が製造開発されることが多い。近江度量衡が本社を置く滋賀県は米や近江牛は名高いが特産の農産物は意外に見当たらない。そのため、はかりをコア技術に、産品や品種に応じ選別機能を発揮させるという〝逆転の発想〟を生かしており、国内200カ所以上で採用されアイテム数も増えている。
一方の産業分野の配合プラントなども、対象物がグラム単位からトン単位までと選果機と似通う。顧客の配合レシピに基づき機械を提供するが企業秘密が多い。小谷社長は「素晴らしいことに取り組んでいても紹介できない」と歯がゆい様子だが、技術力が高く評価される各製品は海外向けが中心で3〜4年先の受注残を抱えるなど、順調な推移を見せる。小谷社長は「はかることは不変的で今後もあり続ける。幅広く提案していく」考えだ。
そんな中で最近、佐賀県のJAさがから玉ネギの大型選別施設を受注した。これは3年前に最大の産地の一つである北海道富良野市のJAふらので経済選果の採用実績が評価されたことが大きい。北海道では営業拠点も強化した。一方で、「産地でしか味わえない品種も大切にしたい」思いも強く、スモール農業に貢献する小型選果機の開発も視野に入れる。農家でも購入できる価格帯を想定、活用するAIの開発にも着手、本年中のリリースを目指している。
柑橘個体の重量、画像処理による外部品質、近赤外線による内部品質に加 えて浮き皮などの判定も可能
グラム単位からトン単位までを正確に計量する工業用原料薬品計量配合プラント 設計から製作・施工までを一貫して請け負うトータルエンジニアリング
『正確、誠実、挑戦』で存在価値向上へ
小谷社長の就任は2025年9月だが、体制変更を機に人事評価も刷新、若手からベテランまで適材適所で、やりがいを感じる制度構築を進める。現有戦力の有効活用を念頭に、仕事に対し前向きになることを狙う。「不易流行の精神で未来に誇れる会社をみんなで作りたい」との思いも込められる。そこには創業以来の理念『正確、誠実、挑戦』が色濃く表れる。今以上に計量技術を磨き、誠実な事業姿勢で挑戦し続ける精神で、〝はかる〟を軸に産業用、農業用で培った技術をコラボレーションしてシナジー効果を発揮、今以上に存在価値向上に注力する。
その上で、現在農林水産関係は入札がほとんどだけに、農家のためにもスムーズに採択される環境づくりを熱望する。明るい材料は徐々にだが状況が変わりつつあることで、チャンス拡大を実感する小谷社長は手ごたえをつかんでいるようだ。
会社DATA
創業・設立:1900(明治33)年3月3日
所在地:滋賀県草津市東矢倉3丁目11番70号
資本金:2億円
従業員数:約150名(関連会社含む)
事業内容:計量装置の総合メーカー(農産物計量システム、穀類計量システム、
工業計量システム、その他計量システム)
URL:https://www.omiscale.co.jp
〈社是〉
一、 吾々は企業を通じ社会に貢献すると共に、お互いの幸福と平和な生活の向上に努力します。
一、 経営の向上と技術の昂揚により、優良品の生産に努めます。
一、 互助の精神をもって職場の繁栄に協力一致邁進します。