最新の設備と技術で、魅せる製品創りを実現【梅田工業株式会社】
梅田工業株式会社は、試作品などの単品から量産品まで、ステンレス、アルミ、鉄を素材に、精密板金加工機械を駆使して、月平均5,000件-約35,000点の品を加工する精密板金加工メーカー。設備投資を毎年行い、多種多様な金属製品を作り出す。現在は、半導体製造装置の機構部品や計測機器関連部品のほか、最近は食品加工装置関連の仕事も開拓しているが、国内の大手半導体装置メーカーとの直接取引が約8割を占める。「当たり前のことを当たり前にやり遂げる。品質と納期をしっかり守る事、基本の基を守る事で、お客様に価値を提供する。特段、変わったことはしていない」と、答えるのは三代目社長の梅田英鑑氏。大手半導体装置メーカーを主要顧客とし、成長を続ける同社に奇手妙手はない。やるべきことを愚直に遂行する日々の蓄積で、顧客の信頼を確保し成長を遂げてきた。
月平均35,000点、高品質、短納期で多様なニーズに応える精密板金加工メーカー
・大手半導体製造装置メーカーを主要顧客にする底堅い事業基盤
・社員が笑顔で働ける環境づくりへの取り組み
板金加工特化の事業戦略
ところが、当たり前を当たり前にやることが難しい。梅田工業が、これを実践してこられた背景には、いくつかの要因がある。まずは事業を板金加工に特化したこと。戦後まもなくモーター変圧器の設計・製作で創業した同社は、昭和30年代からプレス部品と金型製作を手掛け、長く板金加工との両面で事業を展開してきたが、2013年にインドネシアのプレス子会社を売却したのを機に、梅田工業も社内リソースを精密板金加工に集中させ、業務推進態勢を強化してきた。インドネシアでも新たに板金加工の現地会社を設立しており、事業領域を絞り込んで新たな成長を目指す姿勢が明確だ。
第二は、最新鋭の豊富な設備を駆使した技術力と、効率的な生産を可能にする独自の生産管理システム。月平均35,000点に及ぶ大量の注文をこなし、ときには短納期、ときには難加工などの多様な要望に応えてきた。なかでも約20年前に原型を自社開発した独自の生産管理システムは、これまでブラッシュアップを重ねながら、受注から仕入れ、設計、プログラミング、加工、納品までを見える化し、無駄のない同社の高効率な多品種少量生産を支えてきた。「今後はプログラミングデータなど、様々な情報を社内全体で共有化できるよう、一段上のシステム改革に取り組んで行く」(梅田社長)として、業務のデジタル化を推進していく方針だ。
そして第三は、働く社員の活力だ。「社員が笑顔で働ける環境をつくりたい」と言う梅田社長は、「〝魅せる〟製品創り」を経営理念に掲げ、魅力を感じてもらえる製品を通じて、顧客に喜びを与え、社会に貢献しようと呼び掛けた。梅田工業の魅力の本質は品質、納期、顧客目線の高付加価値。日々の当たり前を大事にすることの意味を社員に紐解き、会社の思いを共有してもらえる素地を築いた。一方で、社員の意見も反映する。年次有給休暇の拡大(2023年より)や残業時間の圧縮に始まり、埼玉県の「多様な働き方実践企業」、「シニア活躍推進宣言」、経済産業省の「健康経営優良法人ブライト500」の認定取得など、社員にとって働きやすい職場づくりを積極化。最近新調したユニフォームも、「社内アンケートで社員みんなに選んでもらった」(同)と笑顔を見せる。
(左)笑顔で働ける会社への取組事例⇒健康経営有料法人(ブライト500)など各種認定資格
(右)2023年4月、社員投票で決定したユニフォームを着用して撮影。ベテランから新人への技術伝承を行っている
24時間稼働が可能な新工場を建設
2024年夏には、隣接地に総投資約7億円の新工場を稼働させる。半導体製造装置関連の中長期の需要と、新分野の受注拡大を狙った将来への布石だ。24時間稼働できる自動化設備を導入して人の負担を減らすとともに、様々な加工ニーズに対応していく。さらに「新工場にはもう一つの意味がある」と、梅田社長が打ち明けるのが、現本社兼工場のリニューアル。新工場稼働とともに、築35年の現在の建屋を魅力あるオフィスに変えていく。「どんなオフィスが誕生するのか、楽しみにしている」そうだが、デザインには社員のアイデアを盛り込む方針だ。
最近は、新卒採用に力を入れ、20代の社員が増えている。ここ数年で新卒者10名以上を採用した。梅田社長は、「モノや社会が急速に変化している。若い人の感性、知識に耳を傾け、彼らの潜在能力を発揮できるようするのが、私の役割」ときっぱり。40代半ばにして、社長みずから「オールドマン」と言えるところに、梅田工業のさらなる可能性が秘められている。
(左)絵画と共に…微細加工レーザー加工機にてt=0.3mmの板厚から切り出した蝶。触覚や羽の模様部も細かく再現し、事務所の入口に飾られている
(右)2024年5月隣地に完成予定の新工場イメージ図。非稼働時間の生産量を上げ、さらなる生産性の向上を目指す
《わが社を語る》
■会社データ
所在地:埼玉県行田市持田2662番地
設立:1957(昭和32)年7月
代表者:梅田 英鑑
資本金:5,000万円
従業員数:79名(2023年5月1日現在)
事業内容: ・半導体製造装置、スイッチング式電源、計測器等機構部品製造
・精密板金・機械加工
・コンピュータシステム開発
https://umedakk.co.jp
当社は、「【魅せる】製品創り 社業を通じて社会に貢献する」を経営理念に、半導体製造装置用の構成部品をはじめ、多種多様な製品、部品の精密板金加工を手掛けています。最新鋭の設備と無駄のない効率的な生産で、様々な要望に迅速に対応できるのが、当社の強みです。2024年には新工場を立ち上げ、将来の発展に向けて準備を進めつつ、ITを用いた業務のデジタル化を推進していますが、最も重視しているのは、社員が笑顔で働ける環境づくりです。社員一人ひとりが充足感を持って働ける会社。そんな会社が将来にわたって永続し、社員に幸福をもたらすと考えます。今後もモノづくりの新たな魅力を創造し、社員とともに会社の成長を目指していきます。