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未来の生産・物流をイノベーションするグローバルニッチトップ企業 【伊東電機株式会社】

キラリ、企業ハッケン!

2024.01.17

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 新型コロナウイルスにより、私たちの生活様式は変化した。ネット通販の拡大もその一つ。コロナ禍にあっても、スマートフォン1つで翌日に品物が届くネットショッピングの恩恵に与った人も多いだろう。今では当たり前となった即日配送のネット社会を物流搬送の領域で支えているのが、伊東電機株式会社だ。

〝マテハンの万能細胞〟をもとに搬送革命を巻き起こす業界の風雲児

・世界シェア50%のモーターローラーを軸にした革新的製品開発力
・ソフト技術を融合させた市場創造型の次世代事業戦略
万能細胞MDR

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州政府が操業継続を許可

 主力製品は物流倉庫や製造現場で使われるコンベア用のモーターローラー。実に世界シェア50%を誇る同社のニッチトップ製品である。ネット通販事業者の物流倉庫では、多種多様な品が瞬時に搬送、仕分けされるが、コンベアの頭脳ともいうべきモーターローラーなくして成り立たない。
 新型コロナが世界的に猛威をふるった2020年のこと。伊東電機の現地生産子会社があるペンシルベニア州もロックダウンに見舞われた。休業やむなしと諦めかけた矢先に同社に舞い込んだのは、操業継続を許可する州政府の通達。伊東徹弥社長は、「当社が社会インフラの維持に欠かせない企業として認められた証」と説明する。
 同社のモーターローラー「パワーモーラ」は、48年前の誕生以来、「業界に搬送革命をもたらしてきた」(伊東社長)。一見するとコンベアに取り付けるただの金属棒にすぎないが、内部にモーターと減速機を組み込んだのが最大の特徴。これにより荷物を自動で運べるだけでなく、搬送に必要な部分のみ稼動させることができるほか、速度を変えて荷物と荷物の間隔を縮めたり、荷物同士の衝突を防いだりすることも可能。さらに作業現場の低騒音化や消費電力の削減なども実現できる。
 当初は工場などの生産ライン用が中心だったが、1998年の米国郵便公社(USPS)向けの大量採用をきっかけに、物流センターなどでの採用が一気に広がった。「USPSのコンベアの総延長は30km以上にも及ぶもの。一台の大型ホストで管理するのは無理がある。先代社長が何度も足を運び、やがて自律分散制御が可能なパワーモーラの利点が評価された」(伊東社長)と言う。
 現在パワーモーラは、直流電源駆動で24Vのブラシレスモーターを搭載した「パワーモーラ24」を主力に、〝マテハン(マテリアルハンドリング:物流業務を効率化・自動化する機械装置の総称)の万能細胞〟として日米欧アジアのグローバルで採用される一方、仕分けや昇降機能を持つ多彩なコンベアモジュールをラインナップし、あらゆる仕分けを自動で行なえる現場改善ツールに成長。さらにパソコン画面上でモジュールのアイコンを並べるだけで、簡単にコンベヤラインを構築できるソフト「id-PAC(ポイントアンド クリック)」の開発で、プログラムの設計者の負担を減らし、短時間で新たな仕分けラインを構築できるソリューションへと進化した。
 「わずか3日で物流センターのラインを設置した例もある」(伊東社長)という驚きの商品で、今後はこうしたモーター技術とソフト技術を融合させたIoT/DXソリューションを軸に、さまざまな社会課題の解決に挑む方針だ。
PCで簡単に自動化ラインを設計

PCで簡単に自動化ラインを設計

自社設計、自社生産の強み

 次々に革命を起こし、グッドカンパニー大賞や経産省のグローバルニッチトップ企業をはじめ、数々の受賞歴を持つ伊東電機の力の源泉はどこにあるのか。伊東社長は、「失敗を恐れず挑戦する社風と、時代を先読みした先行開発の姿勢にある」と言い切る。チャレンジの連続から進化したパワーモーラ。デジタル社会を予見していたかのようなid-PAC。そして「地元兵庫ですべてのモーターと制御基板、ソフトウェアを自社設計、自社生産していることが最大の強み」とか。そんな地域密着、地元愛は34年間にわたる少年野球大会の継続開催のほか、里山の活性化やレタスやイチゴといった植物工場開発など、積極的な地域創生活動にも現れる。
 いま伊東電機には、兵庫だけでなく関西エリアや関東からも優秀な人材が集まっている。ここ数年は毎年20-30人の新卒者を採用し、設計開発や製造現場には若い力が溢れている。近隣の兵庫県朝来市にある生野高原に現れた社員手づくりの福利厚生施設は、新たなイノベーションを創造する場でもある。マテハンの万能細胞をベースに、次はどんな革命を起こすのか。伊東電機の躍進が、今後も続くことになりそうだ。
(左)搬送技術を植物工場に応用
(右)社員で生野山荘_ログハウスづくり

《わが社を語る》

〝運び方改革で働き方改革〟の実現に挑戦

〝運び方改革で働き方改革〟の実現に挑戦

代表取締役社長 伊東 徹弥氏

 当社は、小型モーター技術を核にして革新的なオリジナル製品を作り続けてきた会社です。なかでもパワーモーラは、世界各地のネット通販物流施設を中心に多くの採用をいただき、いまでは売り上げの6割を海外が占めています。大事にしていることは、失敗を恐れない姿勢です。失敗があるから成長と成功が生まれます。そしてチームプレーで物事を進められるコミュニケーション力も大切です。
 いま物流業界やモノづくりの現場は、深刻な人手不足や技術者不足に直面しています。こうした社会課題の解決に向け、私たち伊東電機は独自のモーター技術にソフト技術を融合し、〝運び方改革で働き方改革〟の実現に挑戦しています。お客様の要望に応えるだけではなく、時代を先取りして新たな市場を創造する集団を目指していきます。

■会社データ

所在地:兵庫県加西市朝妻町1146-2
創業:1946(昭和21)年2月1日
設立:1965(昭和40)年10月1日
代表者:伊東 一夫(会長)、伊東 徹弥(社長)
資本金:9,000万円
従業員数:400名(2023年4月現在)
事業内容: パワーモーラ(コンベヤ用モーターローラー)・制御機器・モジュール・ユニット・システムなど搬送関連機器の開発・製造・販売・設置、植物工場設備の開発・製造・販売・設置
https://www.itohdenki.co.jp

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