・仕入先や顧客を通じ鋼に関する知識・技術などを吸収
・脈々と築いた人間関係を通じて積み上げたサービスや対応力
80年の経験極め、技能承継にも注力
ウメトク株式会社は各種特殊鋼の加工・販売をメインとする〝鋼の専門屋〟。業務の中心は商社機能だが、単なる販売にとどまらず、鋼を使いやすいように、また使ってもらえるよう熱処理や機械加工を施すことで付加価値をつけ、鋼のポテンシャルを引き上げることで顧客からの幅広い要望・要求に応えている。
ウメトクは1947年に梅田工業として設立、2027年に80周年を迎える。福嶋豊現社長の祖父にあたる勇氏が第2次世界大戦前から欧州の鋼メーカーで営業に携わっており、第2次大戦からの復員後に立ち上げた。当時は技術的に良質な国産鋼が製造できない時期で、欧州から仕入れて販売するスタイルが主流。その後、日本の戦後復興と技術力の向上、さらに高度経済成長期に突入し鋼の需要が増大、ウメトクの業容も拡大していった。鋼が日本の特徴である〝モノづくり〟に欠かせないこともあり、製造業の発展から必然的に需要増につながったわけだが、それまでに「会社を立ち上げ、専門知識なども習得していたことがアドバンテージになった」と福嶋社長は回想する。
設立以来、約80年にわたる歴史と経験から鋼に関してはどこにも負けないのがウメトクの強み。それは、姫路営業所に掲げられている創業者・勇氏の書の言葉『鋼一筋』の3文字に如実に表れている。鋼メーカーではないため、各種鋼加工処理への対応はもちろん、情報提供力や問題解決力を併せ持つこともその源となっている。その上で、顧客の要望を鋼メーカーに伝えたり、問題発生時にも速やかに解決につなげたりすることを、今後さらに極める考えだ。
ただここ数年の傾向として、福嶋社長は「若い人の製造業離れや(製造業に)興味が薄れている」ことに危機感を抱く。人材確保が難しい場合に最近、ロボット化や自動化などで対応する分野も増えているが、「特殊鋼の特性を引き出す熱処理は今でも職人技が欠かせず、簡単に機械化やロボット化が進められない」(福嶋社長)という現実が立ちはだかる。
熱処理の中心は焼き入れ処理で、鋼種によって処理方法は異なるが、例えば1,000℃以上に熱した後、急冷する工程がある。素材が金属のためこの工程で割れや歪みが生じかねない。それをいかに抑制するかで品質の良し悪しが決まる。その上で、熱処理後には削り工程が控え、削りシロの多少が歩留まりに影響する。削りシロの発生要因はまさに歪みで、それを抑えるには職人の肌感覚や経験、ノウハウ、勘がカギを握る。こうした職人技を後世に引き継ぐための後継者育成や技能承継は喫緊の課題だが、その解消には若い力が欠かせないと捉える。福嶋社長は自身の経験を踏まえ「鋼の世界は知れば知るほど面白くなる」と、若い力の参入に大いに期待する。
量から質への転換を図り、さらなる成長へ
国内外に多くの事業拠点を持つこともウメトクの特徴になっている。主要な顧客の近くで倉庫を持って即納体制を敷くことで「顧客に迷惑をかけない、きめ細かなサービスの提供」(同)を追求する。素材としての鋼は製造する時だけではなく、その後の処理にも時間を要する。顧客への納品にはこうした時間も計算しておくことが、要望に応える重要なファクターとなることも、多くの事業拠点配置の背景でもある。ただここにも人の問題がかかわる。地方ほど都市部以上に人の手当てが難しくなるが、「職人的技術を要しない作業が中心で、女性や高齢者も活用できる」(同)と、職場環境の整備も進める。
2年後に控える80周年を機に、さらにその先を見据え取り組むのは、〝量から質への転換〟を図ること。〝量から質へ〟はこれまで拡充してきた拠点の統合の検討に加え、「社員一人ひとりの質もそうだが、顧客に対するサービス内容なども視野に入れている」(同)と、すべての面で質的向上・充実を目指す。その実現には人材確保・育成は言うまでもなく、顧客サービス向上につなげる特殊鋼メーカーとの協力体制の強化なども本格化させ、さらなる成長・発展につなげたい考えだ。80年へ、その先へ向け、動き出したウメトクに注目したい。
会社DATA
設立:1947(昭和22)年7月11日
所在地:大阪市北区茶屋町3番7号
資本金:3億300万円
従業員数:518名
事業内容:特殊鋼材、ステンレス鋼材、電子材料ならびに新素材販売加工。
熱処理加工、機械加工ならびに各種金型製作。一般機械、工具販売。
各種物資の輸出入関連業務。
URL:https://www.umetoku.co.jp
誠実
我らは至誠を傾けて、よりよきサービスの提供をなし、社会的責任を果たす。
堅実
凡そ事業の発展は信用にあり、信用の基礎は堅実なる経営である。いやしくも投機的なおそれのある取引にはしり軽信してはならない。
進取
常に他より一歩先んじて、冷静なる進取不屈の精神を堅持し、積極的に企業の繁栄を図る。
和衷協力
企業の発展は各人の和親協力なくしては達成できない。全員和衷協力一丸となって職務に心魂を打ち込む。
感謝
感謝の念は我らに無限の喜びと活力を与えるもので、この念の深きところ如何なる艱難をも克服する事ができる。